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夜明け  作者: 若葉 美咲
37/42

36:来客〜2〜

光矢は足を止めた。

視線の先には青年がいた。

その青年も光矢を見つけたらしい。

ゆっくりとたが確実に青年は光矢に近づいていく。


光矢が走りだした。

ワンテンポ遅れて青年も走りだす。

隊服がひらめく。

青年の手が隊服をつかんだ。

しかし、光矢は隊服を既に脱いでいた。

転がるように河原へと光矢は走った。


途中屯所の前を通った。

「光矢?」

年が近く見える平助が声をかけた。

「土方さんに巡回終わったって伝えといて‼︎」

光矢が走りながら、叫んだ。

平助が首を傾げていると、青年が通り過ぎた。

その瞬間、平助は戦慄した。

異様な程の震えが止まらない。


平助だって、こう見えて、八番隊隊長を務めているのだ。

よほどのことでもないかぎり、怯えたり震えたりはしない。

平助は勇のところへ走って行った。


一方、追いかけられていた光矢はやっとの思いで河原についた。

青年から距離をとるように光矢は振り向いた。


青年も立ち止まる。

細められた青年の目に映るのは光矢だ。

「久し振りだな。光矢。兄のことを忘れたのか?」

偉そうに青年が口を開いて光矢に語りかける。

光矢の肩が小さくはねた。


光矢の目の前にいる青年は光矢のあに暗太(くらた)だ。

昔から、光矢をつけまとい、苦しめてきた。

傷をつけることを楽しみとしている怖い人だ。


知らず知らずのうちに光矢の手は震えていた。

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