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35:来客〜1〜
月明かりの下に青年がいた。
刀についた血がぬらりと光る。
「あーあ、死んじゃった。」
その青年が笑う。
刀の血を少し舐めた。
それから、また笑う。
「もろいなぁ。どうしてこんな奴らに弟君がわざわざ働いているのかなぁ?」
不機嫌らしく、青年は眉をよせた。
月が雲で隠される。
青年の姿も闇に紛れた。
風に流され、雲から月がでてきた。
その時にはもう、青年の姿は見つけられなかった。
ただ不気味に響く、笑い声がこだましていたのだった。
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七番隊は今日、巡回日だった。
しかし、降って湧いたような光矢に従うものはいない。
幹部とは仲が良くなったとはいえ、世の中そこまで甘くない。
七番隊の隊士からは信用されなかった。
そんな、機会さえ、光矢には与えられなかった。
そんな訳で光矢は一人街を巡回していた。
もちろん、新選組の隊服を着て。
光矢はわりと物覚えはいい。
巡回コースも初日で頭に叩き込んだし、料理も習っている。
幹部の人は主に光矢が一人きりなのを心配した。
が、光矢は一人に慣れているから、気にしていなかった。
今日までは。




