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33:秘密〜1〜
夏の夜。
光矢は黒い着物で街を歩いていた。
ユメグイが怪我を治す前に仕留める予定なのだ。
ユメグイはすぐに見つかった。
光矢は術を使ってユメグイの動きを封じた。
『きざぁまぁ!』
ユメグイが逆上し、光矢に襲いかかった。
光矢はかわしきれない。
「危ねえ!」
左之助が光矢を倒した。
新選組の隊服がひるがえった。
「何で見えてんの⁉︎」
光矢が間抜けな質問をした。
「話は後だ!こいつをどうすりゃいい?」
左之助がユメグイを見据えた。
足に力を入れて光矢が立ち上がる。
左之助が光矢をかばうように槍を構えた。
光矢は札を取り出し、投げつけた。
「決まってるだろ⁉︎倒す!」
光矢が走り出す。
それに呼応するかのように左之助も槍を振り上げた。
辺りは暑く、二人の息は上がっている。
灰と化したユメグイの隣で膝をついた。
空には消えそうなほど細い月が上っていた。
少したってから光矢が左之助に向き直る。
「原田さん、ありがとうございます。助けてもらった。」
左之助は照れたように笑った。
「左之って呼んでくれ。」
ニコニコ笑いながら、光矢に向かって左之助が言った。
「じゃあ、左之さん。あなたはみえてるんですか?」
二人の間に長い沈黙が下りた。




