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32:模擬試合〜2〜
試合が始まった。
まず、一が得意とする、上段からの一撃を光矢に浴びせる。
それを光矢が木刀の峰を使い、受け止めた。
光矢の口端が緩む。
やはり笑っている。
少し、一の顔に焦りが浮かぶ。
総司は黙って試合を見つめて、光矢を観察している。
歳三や勇は一が押されていることに驚きを隠せていない。
光矢の方から一に近づいた。
速さを生かし一気に間合いに滑りこむ。
くぐもった音がして、木刀が空に舞った。
からん。
小さく木刀が音を立てて落ちる。
光矢が笑った。
「負け、だよね?」
悔しそうな顔をした一が光矢を睨んだ。
木刀が手元に無かったのは光矢だ。
しかし、一には分かる。
最後の瞬間、光矢が力を抜いてわざと負けたことが。
「何故だ?」
低い声で一が光矢に聞いた。
光矢は木刀を拾っている。
「話にならないから。俺と君は全然違う。」
光矢は笑った。
風が光矢の髪を揺らす。
瞳が寂しそうに揺れていた。
試合が終わってもお互い、気まずそうにしていた。
夏の日差しが容赦なく、二人に襲いかかっていた。
二人は黙ったまま、片付けていた。




