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夜明け  作者: 若葉 美咲
33/42

32:模擬試合〜2〜

試合が始まった。

まず、一が得意とする、上段からの一撃を光矢に浴びせる。

それを光矢が木刀の峰を使い、受け止めた。

光矢の口端が緩む。

やはり笑っている。

少し、一の顔に焦りが浮かぶ。

総司は黙って試合を見つめて、光矢を観察している。

歳三や勇は一が押されていることに驚きを隠せていない。


光矢の方から一に近づいた。

速さを生かし一気に間合いに滑りこむ。

くぐもった音がして、木刀が空に舞った。

からん。

小さく木刀が音を立てて落ちる。

光矢が笑った。

「負け、だよね?」

悔しそうな顔をした一が光矢を睨んだ。


木刀が手元に無かったのは光矢だ。

しかし、一には分かる。

最後の瞬間、光矢が力を抜いてわざと負けたことが。

「何故だ?」

低い声で一が光矢に聞いた。

光矢は木刀を拾っている。

「話にならないから。俺と君は全然違う。」

光矢は笑った。


風が光矢の髪を揺らす。

瞳が寂しそうに揺れていた。


試合が終わってもお互い、気まずそうにしていた。


夏の日差しが容赦なく、二人に襲いかかっていた。

二人は黙ったまま、片付けていた。


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