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25:死闘〜4〜
総司は、光矢に駆け寄った。
光矢の体が傾いて地面へと倒れこむ。
総司は光矢を抱きかかえ、視線を合わした。
「なんで助けたの?」
総司は聞かずにはいられなかった。
光矢が何かを言おうとして血を吐く。
傷は深く、お腹から背中まで風穴が空いていた。
総司は首を振る。
「ごめん、しゃべらないで。」
総司が告げると光矢はゆっくりと目を閉じた。
そのまま動かなくなる。
ヒューヒューと音を立てる呼吸だけが、今の光矢が生きている証しだった。
笛を聞いて十番隊がやって来た。
戸板をもってきている。
「怪我人は⁉︎」
左之助が声をあげる。
総司は光矢を抱えたまま返事をした。
「原田さん、こっちです!」
すぐに左之助がやってくる。
戸板を持った人も後に続く。
かがんで怪我人を覗き込んだ左之助は驚いた。
「総司、こいつは。」
何か言いかけた左之助を遮り総司がはなしだす。
「説明は後です、原田さん。この人を早く屯所へ。」
傷の度合いをみた左之助も総司に賛成した。
長かった夜が明け始めていた。