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21:ある物と無い物
総司と一は話しをしていた。
もちろん、他でもない光矢のことである。
光矢に自慢の突きを素手で受け止められたのは、総司の対抗心を掻き立てている。
また、一は憧れであり目標でもある歳三と勇をバカにされ静かに怒っていた。
「今度会ったら、ただでは済まさないよ。」
総司がそう言った。
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夕焼けが沈んでゆく。
空は美しく焼けていた。
雲がゆったりと流れていく。
光矢は一人その様子を眺めていた。
ユメグイは今日の夜にでも狩をするだろう。
今日の狩に失敗してお腹をすかしている。
光矢はあくびを堪えた。
この数日光矢は眠れていない。
本当は今日は寝る予定だったのたが、新選組に連れて行かれたから、叶わなかった。
半分は光矢自身の責任だが。
光矢の瞳が悲しそうに切なそうに揺れた。
新選組は光矢に無いものをもっていた。
仲間と信頼。
光矢がとれだけ願っても手に入らなかったもの。
胸が苦しい気がして、光矢はうつむいた。




