17:光矢〜4〜
光矢は天狐の里に生まれた。
人の知らない森の奥深くの結界の中の里だ。
しかも天狐達をまとめる長の家の三番目の子供として誕生したのだ。
兄達からはバカにされ、体を弄ばれたり、殺されかけたりした。
しかし、母親も父親も光矢の存在が無いかのように振舞っていた。
光矢は逃げ出した。
居場所がない里から、人間の世界へと。
そこで光矢を待ち受けていたのは、辛い現実だった。
天狐と言うだけで命を狙われ、痛い目にあった。
妖や霊、妖怪も天狐の血を欲しがり襲いかかってきた。
そんな奴らを退治しているところを今の仕事のリーダー、地獄の管理人アークが見つけてくれた。
アークは光矢に初めて居場所を与えてくれた。
光矢はその居場所を守るために必死なのだ。
光矢にとってアーク以外に近寄ってくる生き物は自分を殺そうとする人か、力を利用しようとする奴らの二種類にしか、分けられない。
そうやって生きてきたから、触れられることが嫌いで、自分の本心を隠してしまうのに慣れていた。
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それは、新選組でも例外ではない。
光矢はまだ、左之助を睨んでいる。