15:光矢〜2〜
屯所の大広間で、光矢は新選組の幹部に囲まれていた。
穏やかな顔の勇に比べ、歳三は不機嫌そうにしている。
勇の左側の壁のほうに総司が、右側に一が座っている。
光矢の後ろには、左之助や新八、平助が陣取り、逃がさないようにしていた。
それでもなお、光矢は余裕の表情を絶やさない。
「初めまして。私は新選組の」
勇が話し出す。
「局長の近藤勇さん・・・、ですよね?」
光矢がさえぎる。
おかげで、周りから鋭い視線が光矢に刺さる。
ところが、さえぎられた張本人は何故かうれしそうにしてある。
歳三がため息をつく。
それから勇を見上げると口を開けた。
「近藤さん、あんたがそんなにやにやしてたら引き締まるもんもひきしまんなくなっちまう。」
呆れたように言われた言葉に勇の太い眉が下がる。
「あんたと違って、その人は優しいんだよ、土方歳三さん。」
光矢が歳三を睨む。
再び、二人から火花が散る。
埒が明かないと気づいたのは、総司だ。
「君は誰?答えなきゃ殺っちゃうよ。」
刀に手が置かれている。
そうとう、危ない。
「怖い、怖い。なんでも刀でどうにかなると思ってる。嫌だねぇ。」
光矢が挑発した。
途端に、総司の突きが光矢に繰り出される。
その時光矢が笑ったのを一は確かに見た。
次の瞬間、素手で総司の刀を光矢が止めた。
若干、手の平を切ったらしく光矢の白い肌を真っ赤な血が筋を作った。
総司の目が見開かれる。