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14:光矢〜1〜
歳三と光矢は無言で対峙している。
先に口を開いたのは、歳三だった。
「忙しい理由でもあんのか⁉︎」
鬼の副長土方と呼ばれるだけの迫力があった。
なのに、光矢は少しも怯え無かった。
「帰りたいですよ。昨日徹夜だったから!」
光矢も負けじと言い返す。
二人の目から火花が出そうな勢いである。
「副長。人の目が。場所を変えましょう。」
人が集まり新選組の悪口を囁い(ささやく)ている。
一がそれに気づき歳三に声をかけた。
「てえめぇも来い!」
歳三が言い放つ。
そして光矢は周りを新選組の幹部に囲まれ歩くことになってしまった。
左之助や新八、平助は六郎が助かったことをとても喜んだ。
それに対し歳三はとてつもないものを背負い込むだ。
ちらりと光矢に視線をむける。
光矢は満更でもない様子だ。
それが歳三の怒りを煽る。
総司と一はいつでも切りかかれるように利き手を刀のつかにかけている。
もうすぐ屯所である。
夏の暑さが歳三達にも降り注ぐ。




