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12:ユメグイ〜3〜
光矢は六郎の燃えている腕に包帯を巻いた。
すると、不思議なことに包帯は少しも燃えなかった。
「な?燃えていない。その痛さは六郎自身が描いた物だ。」
六郎はまだいたそうにしている。その間に火はおおきくなっている。
涙目で六郎が光矢に訴える。
「俺を信じろ。」
光矢は真っ直ぐ六郎を見つめて頷いた。
「痛くない、痛くない、痛くない、…、痛くない!」
六郎が驚き目を開いた。
新選組の幹部も同様に驚いていた。
火が小さくなっていく。
総司は刀を鞘に収めた。
光矢は妖に向き合った。
『らだじのえぼのおぉ!!』
食事を邪魔されたユメグイという妖が光矢を睨みつけていた。
「ひいっ!!」
六郎が再び悲鳴をあげた。
光矢の口の端しが持ち上がる。
「見えるのか?なら丁度いい!こいつがお前さんを食おうとしてたんだ!」
六郎が気をうしなってしまう。
妖があまりにおぞましい姿だったからだ。
左之助が抱える。
何が起きているのか、新選組には、わからない。
ただ、光矢の髪が風も無いのに息をかけられたかのように、ゆらゆらとゆれていた。




