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未来と過去と後悔と

作者: 小宮つばさ
掲載日:2006/11/29

 突然、友人はこんなことを聞いてきた。

「なあ、未来って見てみたいか?」

「…未来?」

「そ、未来」

 そういう友人には別段変わったところはなく、いつものように淡々と話した。

「…お前は見たいのか?」

「いや、全然」

 友人は全く表情を変えずに答えた。

「なんで」

「怖いだろ?

 十年後を見たいと思っても、実は自分には十年後がなかったりしたら?」

「………」

「自分の未来が、半年後までしかなかったら?」

「………」

「運悪く、自分が死ぬところをみたら?」

「………」

「嫌なことが待ち構えていたら?」

「…はあ…」

 なんでいきなりそのようなことを言うのか、私には見当もつかなかった。

「いやだろ?

 そうなる可能性の方がずっと高いし」

「…んで、見たくない、と」

「そ」

「じゃあ、なんでそういうこと聞くんだよ」

「過去に帰りたいと…思うか?」

 私の質問に答えず、友人は話を変えた。

「…………過去…?」

「そ、過去」

 相変わらず、友人は表情を変えない。

「過去に戻って過ちをなかったことにしたりとかさ、いろんな事できるじゃん」

「じゃ、お前戻りたいの?」

「いや、全然」

 友人は即答した。

「過ちがあるからこそ、次にそれを犯さないように出来るだろ?

 大きなことで言ったら、過去に戻って原爆を止めたら、今は第三次世界大戦かもしれない」

「はあ…」

「後悔があるから、人生楽しいんじゃないかな?

 俺は今、いろんなこと後悔しているよ。

 それが、俺が今生きているって事」

「…わけわかんね」

 私がそういうと友人は笑った。

「かもね」

「で、なんでそんなこと聞くんだよ」

 友人は一拍置いて、答えた。

「そうおもったからさ」

「…お前、変」

 友人はまた笑った。


 半年後…―

 その友人は死んだ。

 あっさりと。

 車にはねられて死んだ。

 分かれ道で、私と別れた直後だった。

 そして私は半年前の会話を思い出す。


『十年後を見たいと思っても、実は自分には十年後がなかったりしたら?』


『自分の未来が、半年後までしかなかったら?』


 ――もしかしたら…


 友人は知っていたのかもしれない。


 だから私に言ったのだろうか。


 確かめることは出来ない。


 もう死んでしまったから。


 もう居ないから。


 もしも…


 半年前に戻れるのなら…


 私は聞くだろうか?


 『未来を見たのか?』と…


 聞くだろうか?


 あの分かれ道に戻れるのなら…


 意地でも友人が行くのを止めるだろうか?


 いや…


 戻りたくない。


 なぜなら、私は…

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― 新着の感想 ―
[一言] 過去があっての今の私、ということでしょうか。確かに、過去を変えることも、未来を見ることも怖いです。
[一言] いいですね 僕は今近い作品書こうとしているから 余計におもしろいですよ 負けてらんないなー それじゃーがんばってね
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