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ボクユメ7

 「オレとハルキは、前からダチなんだ。

ハルキはオレの良き理解者ってとこかな、わかるだろ。」

訳もわからずにいるのに、何をわかれっていうんだよ。オマエの言ってることを、鵜呑みにできるか。ムカついて無言のまま、その横顔を睨み付けた。

「わかんないか・・・んー、オレさ、身体はオンナだけど、脳みそはオトコなわけ。

しってるだろ、そういう人間がいるってこと。テレビで見たこと無い?」

 あるけど・・・あるけど、そんなのが近くに居るなんて想像できない。それに、オマエの言ってることが本当だって事、どうやって立証すんだよ。そんな眼に見えない事、どうやってわかれっていうんだよ。

「信じらんないよね、こんな話し、いきなりだもんな。誓って言うけど、オレはハルキとヤってないから、マジで。ダチと付き合うほど、飢えてないし。第一ハルキは、オレのタイプじゃないしさぁ。どっちかっていうと、田辺くんのがタイプ・・・あれ、それじゃダメ?」

なんだよ、コイツ、ちょー訳わかんね!オレは、一体、何を信じたらいいんだよ。

 雷鳴はどんどんとコッチに近づいてきているようで、どんよりと曇った夜空が、ところどころ明るく光る。湿った風が、オレたちを吹きつけ始めた。

「参ったな・・・話しても、無駄って感じ?」

「・・・ハルキは?」

「待ってるよ、ずっと。田辺くんが携帯の電源入れてくれるの。」

手に握ったままの携帯に視線を落とす。なんか、ここで電源入れたら負けって気がしねえ?

「けっこー、頑固?」

「なんで、都築さんがココに来たの?」

「んー、誤解させた責任みたいなのあるし、それに、仔猫ちゃんをほっとけないし。

極めつけは、ハルキの馬鹿がスゲー凹んじゃって・・・で、オレの出番かなって。」

凹んだ?あの自己中のハルキが・・・凹んでんの?

こんなことぐらい、軽く笑ってんじゃない、ハルキなら・・・

「アイツ、あれでもさー、マジ情けないくらいウサギちゃんなわけ。」

「ウサギ?」

ヤツは、ニヤニヤと笑った。オレがコネコなら、ハルキはウサギ?

なんだよソレ。

「そーだよ、1人だと寂しくて死んじゃうーみたいなヤツ。」

「んなわけないじゃん!」

「知らないの?アイツ、いつ田辺くんに捨てられるかってビクビクしてんだから。」

ダレが本気にするかよ。

あのハルキが、捨てられるってビビってたなんてさ、笑えるじゃん。

いっつもほったらかしで、自分ばっか遊んでるくせに。

「今も、ひざ抱えて丸まってんじゃん?」

そんな情けないハルキ、ホントのハルキなわけないじゃん。

何にもわかってない、コイツ。

こんなヤツにハルキのこと、とやかく言われたくない。

言わせない。

「アイツとなんか別れて、オレと付き合わない?」

「うっせーよ、なんだよオマエ、さっきから勝手なことばっか言ってんじゃねーよ。」

「オレ、マジで言ってんだけど。」

 そう言ったヤツの横顔は、うっとりするくらいキレイだった。その真剣な瞳に吸い込まれそうになったのは、認めてやる。オマエのこと、ちょっとは気に入ってたのホントだし・・・

あんなの目の前で見せ付けられるまでは、ホント機会があればって思ってた、けどだ!

オレは、オマエとハルキの関係が気に入らないんだよ。

「エイコが感謝してた、田辺くんに助けられたって。自分を見失ってたの、気が付いたってさ。」

「エイコと話した?」

「さっき携帯で、ゴメンって謝ってきた。オレもさ、友だち以上の気持ちは無いって話をしなきゃいけなかったんだけど、エイコが自分で気が付くの待ってたんだ。じゃないと、同じこと繰り返すだろ、あの手のオンナは。」

ヤツの真面目さっていうか、優しさに、素直に驚いていた。

友だちに対して、そこまで真剣に思うだろか?そこまで、相手のこと考えるだろうか?

フツーなら、ウザいぐらいで無視して終わる。好きでもない相手に言い寄られたら、尚更なんじゃね。

「オマエ、だからオレがココだってわかった?」

「まーねー、ハルキは今でもあちこち駆け回ってんじゃね。放課後の約束、エイコぶっちすんのに、すっぽかしちゃったし。せっかく二人っきりで話すチャンス、オレが見逃すとでも思う?まさか、この格好で告白するなんて思いもよらなかったけど、ま、いいかなって。」

 えぇ・・・今、サラリと何か言ってない?結構、ドキドキしちゃうようなこと。

コレって夢?

オレ、寝てんの?

「ハルキとのことは知らなかったけど、結構前から、田辺くんを見てたんだから。

オレとしては、ハルキに持ってかれたーっていうのが正直な気持ち・・・出遅れた。」

「な、なんでオレなの?」

「好きになるのに、理由が必要?」

ない・・・。好きになるのに、理由なんていらない。ハルキを好きなのに、理由なんてないもん。それと同じ気持ちを、コイツも抱いてる。

「ちょっとは脈アリだって思ってたんだけどな、さっきのでシクったね。」

「じゃ、本当にハルキとは・・・」

「だから、ただのトモダチ。今、大学が忙しいんだって?バイトもしてるだろ、朝、間に合わないとかなんとか言ってた。ウチ、大学の近くなんだ、それで、泊めてやってるだけなんだから、変に勘ぐるなよ。」

「そうなんだ・・・」

「話してなかったハルキが悪いって、オレ、ちゃんと叱っといたから。」

「うん・・・」

 手の中で携帯を転がしながら、軽くなった胸で楽に呼吸する。

頬に、ポツリと小さな雨だれが落ちてきた。雷もずいぶん近くなってる。

「ウチ、来なよ。その方が、ゆっくり仲直りできるしさ。」

「なんでそんな・・・」

「惚れた弱みってやつ?好きな子には幸せでいて欲しいじゃん。」

「マジ?」

「マジで。」

ヤツは素早くオレの手の中の携帯を奪い取って、電源を入れた。

途端、鳴り響く着メロ。

「ほーらね、ウサギちゃんビクビクでしょ?」

「ホントだ。」

「やっと笑った。」

「・・・。」

「早く出な。」

都築さんから受け取った携帯は、まるでハルキが泣いてるみたいに鳴ってる。

「もしもし・・・」

「リョウ!!今、どこ?」

「公園。」

「あ、」

都築さんは、急にオレの手から携帯を取り上げた。

「いいか、これ以上泣かせたら許さないからな、今からウチに連れてくから大人しく待ってろ!」

そうハルキに怒鳴って勝手に切ると、携帯をポイと投げて寄こした。

「アイツにはイイ薬。」

「もー。」

参った。

この人にはかなわないかも・・・マジ、参ったね。


エイコがカノジョは違うって言った意味、わかった気がする。そんな、カノジョに惹かれる気持ちも。まだ、カノジョの正体すら知らないけど、こうしているうちにずいぶん惹かれてるもんな。学校のカノジョとは違う、もう1人のカノジョの方に。


あの時の夢が、まさかこんな形で本当になるなんて、まさに正夢。

「行こ、ウサギちゃんが拗ねる前に。」

意地悪く笑うカノジョにつられ、オレもニヤリと笑みをこぼす。

そして、オレらの大きな笑い声は、誰も居ない夜の公園に響いた。


きっと、今夜もまた、オレは夢をみる。

それが悪夢にならないことを、今から願っておこう。


「ボクは夢をみる」(終)


「ボクは夢をみる」ご拝読いただき、ありがとうございました。

ムーンライトノベルズBL系にて「久保トオル」が引き継ぎいたします。

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