ボクユメ2
「ふぅーーーーーー」
なーんかなぁ、なんだかなぁ・・・最近、ハルキ冷たいんだよなぁ。ゼミで忙しいのわかってんだけど、メールくらい返信してくれたっていいじゃん。自己中ハルキだからしょーがないけどさ、この前の夢みたいになったらヤだし。でも、なんか心配でさぁ、休み時間の度にメールチェックしたりする自分、あぁ、けなげすぎる。
自分でもわかんないけど、オレの好きになっちゃう人って、最近はみんなオトコ。もちろん、オンナとだって付き合ったことはあるけど・・・最後まで、シタことはない。オンナとスルってイイみたいなんだけど、生憎そのチャンスがまだめぐってこないみたい。ま、そのうちにって思ってんだけどね。
だからオレの恋愛って、相手が相手だけに、だいたいが苦しい気持ちを抱えるわけだけど・・・3日前に見た、あのリアルな夢が脳裏に焼付いてて、精神状態ヤバめなわけ。
あの夢の続き、残念なことに覚えてないんだ。ネコになって抱き上げられて、たぶん連れ去られたんだろうな。あの人、本当にいたらイイのに・・・「はぁーーーー」ため息と一緒に机に突っ伏した。
窓の外は、青空だ。オレの心は曇り空って感じなのにな。
3階の教室の窓から見えるといったら、空、3階建ての体育館の2階フロア、見下ろすとレンガで敷き詰められた中庭。それだけ・・・敷地が狭い街中の高校だから、しかたないよな。体育館をグルリと取り囲むように校舎が4棟建っていた。お陰で、グランドが存在しないから・・・体育嫌いなオレにはありがたい。
良かった、生物の時間で。この先生、テストで点さえとれば授業中の態度はどーでもいいみたいな先生だから。オレがこうやって寝た振りして外を眺めてたって、無関心だもん。
ふと見た体育館、女子クラスがダンスしてる・・・ウチの学校、前は女子高だったんだよね。だから、女子のが圧倒的に人数が多い。部活も女子のが全国行ってるし、あ、エイコだ・・・ってことは国立コースのいけ好かないクラスか・・・普通科を見下してる、ヤなクラス。
でも、1人だけあのクラスなのに毛色の違った子がいたっけ。ほら、体育館のガラス窓に寄りかかってる子。名前、なんだっけ・・・えっと、そう都築さん。けっこー、目立つんだよね、背が高くて、キレイで、それでなんかクールな感じだから。彼氏、いんのかなぁ。あの子だったら、シテもいいよなぁ、・・・なんて、許してハルキ。
あ、エイコ、意味ありげにニヤニヤしながら、カノジョに近寄ってきた。あの女、ちょームカつくんだよなぁ、お嬢様だかなんだか知らないけど、ホント、バカ女の部類ネ。
その二人の様子を観察していたオレは、ちょっと意外な方向性にピクリと反応していた。どう見たって、なんかエイコのヤツ、都築さんに気がある素振りっていうか、どうなのその雰囲気。ペッタリと寄り添うって感じですかねぇ・・・あいつ、そっち系だったんか?
都築さんの少し迷惑そうな横顔が、こっからでもハッキリと見て取れた。またマイペース発揮してんのか、エイコのヤツ。カノジョの腕を引っ張って無理矢理床に座らせると、その耳元で何かをささやいていた、今にも唇がその耳に口付けでもしそうな程に顔を寄せて・・・
けれどカノジョは迷惑そうに立ち上がると、フロアを背に、こっちの、オレの校舎の方を向いて、うんざりした顔をしていた。それでも執拗にカノジョの腕に手を絡めるエイコの品の無い態度が、盗み見てるコッチも不愉快にさせる。いい加減、諦めろって、脈ないんだから・・・オレは苦笑してしまう。
無関心を決め込んだのか、それとも話すのもイヤなのか、カノジョはエイコを無視していた。エイコの形相がみるみる強張って、怒りがその態度にも表れ始めると、やっと大きくため息をついて、真っ直ぐにエイコの瞳を見つめていた。その途端、エイコはヘナヘナと力が抜けてしまったようで、だらしなくカノジョにしな垂れた。
疲れたように空を仰ぎ見たカノジョが・・・戻した・・・視線の先に・・・オレが・・・いた。
ヤベ、見つかった!
慌てて視線を反らしたけれど、カノジョの視線を後頭部に強く感じていた。
その視線の痛さにいたたまれず、もう一度、おずおずとカノジョに視線を戻す・・・
するとカノジョは、愉快そうにニヤリと笑ったんだ。