表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

ボクユメ1

  夢だ。

 絶対に、コレは夢。

それも、絶対フツーの夢だから、大丈夫だって、絶対、そんなことあるわけ無いから・・・

 夢の中で、ハッキリと自分の意識を自覚しながら、教室の机で涙している、自分に言い聞かせる。

しかも、授業中だぜ、オイ!古典かよぉ・・・イツだっけ、古典・・・あぁ、だからコレはただの夢だから大丈夫、心配すんなぁ。

でも・・・夢でも、あんまりだよ、授業中にこんなの。

 いきなり鳴ったケイタイのバイブ。

メール・・・ハルキからだ。自分からメールなんてしないのに、昨日のがよっぽど良かったのかなぁ。

夕べのHを思い出してニヤケながら、その無題のメールを開けた。

 『女できたから、リョウとは別れる。』

「え! なに、コレ!!」あ・・・なんか、コレ夢だ、叫んだのに誰一人気づかない・・・だから、いつものように夢だってスグにわかったけど、スゲーショックなんですけど。

マジ?ハルキ、いくら夢の中でも自己中すぎない?いや、現実のハルキはもっと自己中だな。

夢の中の授業は淡々と続いていて、クラスのヤツ等誰一人としてオレの様子に気づいていない。

そうだよ、夢だもん。

今ココで大泣きしたって、誰も気が付かないし、恥ずかしくもなかろう。

泣いちゃえ!

 『ハルキのバカヤロー、酷いよメールで別れ話なんて、オマエなんか大嫌い!

 ばかばかばかーーー、大好きなのにぃ!もっともっといっぱい一緒にいたいのに!』

泣いて泣いて、鼻水垂らして激しく叫んでんのに・・・やっぱ、誰も気が付かない。

それはそれで、ちょっと悲しいかも・・・「どうしたの?」って声も無しかよ。

あーぁ、なんか泣き疲れちゃった。 

 夢だってわかってたって、心の傷は相当なもんだ。本当にハルキからこんなメール来たら、死んじゃうかもしんない。オレは大きなため息と共に、机に突っ伏していた。

窓の外に広がる暗い雨雲・・・オレの心を表現してんだな、きっと。あと少しで大粒の雨が降ってくんだろう。無理矢理起きちゃおうかな、でも、そしたら目覚めが悪すぎて1日憂鬱になちゃうもんなぁ。少しはハッピーに転換していってほしい。

 『ねー、どうした、コネコちゃん。飼い主に捨てられちゃった?』

え?急な声に顔を上げると、どこかで見たことのある、見覚えのある・・・澄んだアーモンド形の瞳が、目深にかぶったキャップの下から覗いていた。だ、誰だっけ・・・

 『きっと雨が降ってくる。ココにいたら濡れちゃうよ。良かったらウチに来ない?』

どこで聞いたんだろう、聞き覚えのある透明感のある涼やかな声。

たぶん、学校のヤツ?でも、こんなカッコイイヤツいたっけ?そんなヤツいたら、見逃すはずないし・・・その手がオレの身体を持ち上げ、その腕に優しく抱いた。

 ん?オレ、仔猫になってる?「あんた、ダレ?」って一生懸命叫んでも『ミャーミャー』鳴いてるだけなんだもん。本当、夢ってオモロイ。落ちないように踏ん張ったら、オレの爪がその人の肌に少し食い込んだ。「ゴメン、痛かったよね。」って謝ってもネコ語だけど。

『ん?大丈夫、このくらい。』

そう言って、その人はオレの頭を何度も撫でたんだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ