第八話 怒りと最善の一手と魔王
遅くなってすみません!!
で・・・ごめんなさいですけど今日はあとがきは割愛します(汗)
ク「なんか最近あとがきがおざなりになってきているような・・・」タ「気のせいだよ気のせい!!」
・・・・・・ごめんなさい(泣)
クロside
心のどこかで思ってた。
もしかしたら龍也さんも俺と同じように戦っているのかもしれないと。
しかしまさかそれが敵、しかも自分の妹を閉じ込めている奴らの仲間だとは思わなかった。
「どういうことだって聞いてんでしょうが!!答えてくださいよぉぉ!!」
「クロくん!ちょっと落ち着きぃ!」
「邪魔すんな!そこに!目の前に夢羽がいるんだ!!」
同時に焔を顕現させ一気に炎も出す。
全身を赤々とした炎が包んでいくのがわかる。
しかしその炎は今の俺の気持ちを表しているかのように轟々と燃え上がっていた。
「おぉぉぉぉりゃああああ!!!!」
焔を横になぎ払い特大の炎を出す。
アレスさんのようにちゃんと想像して創りだした技ではないが最大質量の炎の塊だ。
三人のうち誰に当たったかを確認することもなく一気に走り出す。
だが体はまたもや何かに縛られたような感覚に襲われる。
それもさっきの魔法とは違い、力ずくで破ることができない。
それをよく見ると影だった。
「ええ加減にせぇよクロくん。さすがにオイタが過ぎるで?」
俺を捕らえたのはアレスさんだった。
その言葉と同時に首の後ろに衝撃が走り、目の前が暗くなっていった・・・
アレスside
もう興奮したクロくんを止めるには片鱗の力を使うしかなかった。
もっとも一度クロくんが攻撃をしているため無意味だったのかもしれないのだが。
「堪忍な、クロくん」
クロくんの炎による煙も消えてきて視界が晴れてくる。
そこには無傷の三人が立っていた。
「危ないですね・・・だが単調な攻撃だ。ちゃんと防御魔法をかけてやれば何と言うことはないんですよ」
「ハッ、せっかくの力も何も考えてなきゃ意味がねーな」
何かはわからないのだが魔法を唱えてクロくんの攻撃を防いだようだ。
おそらくあの白衣の男が。
しかしいくら考えなしに打ったものとはいえ、片鱗の攻撃を無効化するなんて只者ではない。
あのシルフでさえ片鱗の前では全力を出してようやく互角になったというのに。
「・・・ワレ、何者や?」
「私の名前はエミール。博士、とでもお呼びください。まぁ本当の二つ名は別にありますが・・・」
そこにナワエちゃんたちが回り道をして階段から降りてきた。
人数的にはこちらが有利。しかしここは相手の本境地。罠がある可能性も否めない。
それに実力でみればあちらが圧倒的に上だし、しかも下手をすると戦争を起こしかねない状態だ。
よってこれらより導き出される最善の行動は・・・・・・
「みんな!逃げるで!!」
いったん逃げて体制を整えてからもう一度クロくんの大切な人を助けに来る、というのが最善だろう。
クロくんを眠らせてしまった今、勝ち目は非常に薄くなってしまった。(まぁ自分のせいなのだが)
それにたとえ戦争にまで発展しなくても絶対に自分たちは王族を攻撃した『犯罪者』となってしまう。
ここにはまだヒスイ、ナワエ、クルムーン先生がいる。
いくらなんでもそこまで巻き込むわけにはいかない。
しかしなぜかクルムーン先生だけはその場から動こうとしなかった。
「おい!クルムーン先生、何やっとんねん!」
「あ、ああ・・・すまないね」「まさか、あなたはクルムーンなのか?」
先生と博士はほぼ同時に自分の言葉に反応した。
先生は苦い笑いを。博士は獲物を見つけたような残酷な笑い。
なんや?先生とこいつに何の関係があるんや・・・?
「いいです。気にしないでください。行きましょう」
「そうか・・・残念だがあなたとの死闘はまた今度にいたしましょう・・・・・・親愛なる魔王よ」
魔王という単語がいやに耳に残ったがただひたすらと逃げた。
肩に担いだクロくんの頬にはいくつもの涙が流れたあとがあった。