XXI 記憶×炎=終局
ヒスイside
「ヒスイ、パース!」
え?ちょ、ちょっと!魔法打ってる(当然失敗)途中で投げないでよ!
そうは思いながらもしっかりとキャッチする。
まぁ元々ゴーレムはわたしたちのことを気にはかけてなかったみたいだから何の邪魔もなく受け取れた。
なるほど。これを元の場所に戻せっていうのね・・・・・・
「ナワエ!これをもって、あのっ!!!???」
「ど、どうしたんですか、ヒスイさん?」
わたしが宝石のおいてあった台座の方を向いたとき、不思議な感覚が私を襲った。
頭の中に膨大な量の情報が入ってくる。
いや、情報と言うよりは、人の記憶。
誰かの生きた証がわたしの中に入り込んでくる。
そして、気づいた。今何をすべきかを。
「クロ、受け取りなさい!」
クロに向かって宝石を全力で投げる。
当然クロは最初は慌てるだろうが、もう心配はいらない。
クロが宝石を受け取ったときから、わたしはもうこの戦いが終わることを確信していた。
クロside
宝石からさっきとは違った反応が見られる。
宝石は俺の手の中でさっきよりもはるかに紅い輝きを放っている。
そして、俺の体をその光が覆う。
ああ、そういうことか・・・・・・
俺はそうなのか。そういう存在なのか・・・・・・
たくさん、いろんなことがわかったわけではない。
ただ、宝石から自分が何か、どんな力を持っているかを教えられた。
ゴォォォォォォォォォォォォ!!!!!!
俺の体から炎が一瞬飛び出す。
それによってゴーレムの手が焼け落ち、シルフが開放される。
「って・・・何だぁ?何が起きやがった?」
「簡単なことですよ。俺が俺を理解したっていう・・・」
俺も地面に降り立ち、ヒスイを見る。
その目はいつもどおり、強気だ。
「クロ、存分にやっていいわよ」
「了解だ!俺の主人様!!」
ゴーレムに向かい直る。
ゴーレムは俺たちに向かって手を伸ばしてくるが、もう何も怖くない。
もう負ける気はしない!!
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
焔を全力で振り下ろす。
そして焔から同時に大量の量の炎の塊が飛び出る。
「ギャォォォアァオァオアォアォアァオ!!!!」
ゴーレムは木でできていた。だから炎の攻撃をくらって無事でいるはずは無い。
これで終わっただろう。少しだけ、あっけないとは思ったが、これでもうアイツは体を焼かれるしか道はない。
そして俺はゴーレムに向かい、俺の勝利を高らかに宣言する。
「この俺、炎の片鱗、柳川 黒の勝ちだ」
タ「・・・こんにちは、タクミンですぅ・・・」
ク「!?おいおいどうしたタクミン?失恋でもしたのか?」
タ「いや、そこまで悲しいことにはなってないよ!?いや、実はさ、昨日鍋作ったんだわ」
ク「まぁ寒かったしな。それがどうかしたのか?」
タ「いや~、いつのかにか鍋の汁が五分の四くらいなくなっててさ~」
ク「!?何、蒸発したの!!??」
タ「うん・・・だから少しだけ落ち込んだw」
ク「少しくらい料理できるようになっとけよ?タクミンが一人暮らししたとき困るぞ?」
タ「そだね、修行はちゃんとするよ」
ク「きっと御飯つくりにきてくれる彼女とかできないからさ」
タ「うるさいなお前!?泣くよ!?泣いちゃうよ!?というか泣いていいかな!?・・・・まぁいいや。次回予告です。自分の正体を知ったクロ。自分が何たるかをみんなに告白する。そしてシルフの目的とは?お楽しみに!」