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無の片鱗  作者: 安藤言葉
第Ⅰ章 火の国ベルフレム王国編~異世界の住人~
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Ⅸ ボスザル×裏切り=理性崩壊

アレスside

「おっ、来たな。おっはよ~さ~ん!!二人ともしっかり寝れたぁ?」


「おはよう」


「おはようございます」


ん?クロくんの元気がちょっとないのぉ・・・?


まっ、ええか。


「ほんなら依頼受けに行こか。受付のねぇちゃ~ん、なんかええ依頼あらへん?」


「それではこちらはどうでしょう?ヤマザル20匹の討伐」


「これでええよな?」


ヒスイちゃんとクロくんも了解したことで受注に必要な事柄を記入する。


「・・・ほいっと。いつもええ仕事しとんね、ねぇちゃん。無事帰ってきたら結婚してくれへん?」


「それではお気をつけていってらっしゃいませ」


スルーかいな・・・ま、ええわ。いつものことやし。



・・・・・・ほんまにええ仕事しよるわ。


これからすることを思うと少し胸が痛んだ。


でもこれがクロくんのためにもなるんや。


やるしか・・・ない。



クロside

「おらっ!!!」


「ウギィ!?」


ところ変わって岩山。今おれたちはヤマザル20匹の討伐に来ている。


しかし今回はおれを試すためにやってるみたいなのでおれしか戦っていない。



ヤマザルの背後に回り、首を捕らえ、へし折る。


そんな戦法を繰り返していた。


だって血をみたくないから・・・


最初は生き物を殺すことに抵抗はあったが、こいつらは人里を襲っているから仕方がないだろう。


そう思うと少しだけ気が楽になった。



確かもう13匹倒したはずだ。


周りにはまだ5匹くらいが距離をとってこちらの様子を伺っている。


そのうちの1匹が突っ込んできたのですかさず首をつかまえ、折る。


そのときだった。


残ったヤマザルたちが急に叫びだした。



すると岩山の上のほうからなにか大きな影が落ちてきた。


砂煙が収まるとその姿があらわになる。


一見見るとヤマザルみたいなのだが、まず大きさが違う。


普通のヤマザルはせいぜい小学5年生くらいの大きさだったがこのボスザル(今命名)は車1.5個くらいもある。


しかもキバやツメがヤマザルよりはるかに発達している。


ヤマザルたちはボスザルにすべてを任せ、逃げていった。



先手必勝!!!


おれはまっさきにボスザルに突っ込む。


しかしボスザルは避けようともせず、逆におれをその鋭いキバで噛み切ろうとしていた。


「やっべ!」


ボスザルの顔面を片手で受け止める。


一安心しているとボスザルが右腕でおれを殴りつける。


完全に前に体重をかけていたため、横からの攻撃にあっけなく吹っ飛ばされる。痛くないけど。


ボスザルがとどめとばかりにまた噛み切ろうと大きな口を開く。


ち・・・もう血を見ないで勝つのは無理かな。


おれはボスザルのキバをつかみ、へし折る。


これはさすがに効いたのかボスザルが後ろによろめく。


その眉間にへし折ったキバを突き刺す。


大量の血が出て、少し痙攣したあとボスザルは動かなくなった。



また血をみちまったよ・・・


「ア、アレスさん。こいつは20匹の中にカウントされるんですか・・・ね」


血をみたため動くことが出来ないおれは振り向かずに質問する。



ザシュッ!!


「グッ!」


突然背後から鋭い攻撃がおれの背中を切り裂くのが音でわかった。


しまった。まだヤマザルがいたのか!?


無理やり体を動かし、後ろを見るとそこには大鎌(デスサイズ)をもったアレスさんがいた。


おれには今のアレスさんは、死神のように見えた。




「っく、何でですかアレスさん!!!」


しかしおれの問いには答えずに次々に斬撃を加えてくる。


おれはなすすべもなくその場に崩れる。


そんなおれにヒスイが心配そうに駆け寄る。


「ちょっと!なにしてんのよ!!」


こんなときにいうのもなんだと思うが、ヒスイがおれのために怒ってくれたのが少しうれしかった。


「どけや」


「キャッ」


アレスさんはヒスイを殴って吹っ飛ばした。


女の子を殴るとかゆるせねぇ!!!


「テメェ!!!」


「ワレに他人の心配をしとる暇があるんかいな」


アレスさんは残酷なまでに躊躇なく斬りつけてくる。


「そんなに睨まんといてや・・・」


睨みつけるおれにアレスさんはお構いなく大鎌を構える。


「自分だってこんなことしたくあらへんのよ・・・」


アレスさんが大鎌を振り下ろす。


思わず目をつぶる。





・・・ああ、死んだな、おれ。




でも死んだ瞬間ってなんにも感じないんだな・・・



痛みも背中のが少しひどいだけだし・・・・・・



あれ・・・おかしくないか?


おれって・・・死んだよな・・・じゃあ、なんで痛みを感じるんだ?


おれはもう一生開くはずがないと思ったまぶたを開く・・・すると、そこには・・・





「ヒス・・イ?」


おれの目の前には両手を広げて立つヒスイ・・・



なんで・・・?



おれがそう呟こうとした、そのとき・・・


ドサッ!


ヒスイはおれの上に倒れ込んだ・・・



「お、おい!」



おれがヒスイの肩を抱いたとき・・・違和感を感じる。




ネチャ・・・



聞き慣れない音におれは右肩に触れた手を見る。



わかりたくなかったが、わかってしまった。


おれがこの世の中でもっとも恐れるもの・・・


・・・黒く、ねっとりとした生暖かい液体・・・・・・血だった。




その瞬間おれの中であの日のことがフラッシュバックする。


まるで走馬灯のように家族全員が殺された日が再現される。





「うっさい!!死んじまえ!!!」


「親に向かって死ねとはなんだ!!!!」


おれは父親の怒声をまったく無視して家を出た。


ちょっとしたことでケンカしてしまった。


完全に悪いのはおれだったのだがまだ中学生に成り立てだったおれは反抗期まっさかりだった。



二時間くらいたってからおなかがすいていることに気づいた。


それと同時にさびしくなる。


「・・・謝ろうかな」


そう独り言をつぶやき、足の向かう方向を180度変えて走り出す。



「ただいま!!!父さん、さっきはごめん!!!」


ドアを勢いよくあけ、大声で叫ぶ。


しかし返事はない。


・・・そんなに怒ってるのかな?


「あの・・・父さん?ほんとにおれがわる」


そこまで言ったとき嫌な臭いがするのに気づいた。


嫌な予感がし、急いで食卓に向かう。


するとそこには・・・・・・


二度と口をきいてくれない父、母、姉の三人がいた・・・・・・



・・・おれのせいか?おれが勢いよく飛び出し、鍵もかけずに出て行ったせいなのか?


そう思うともう理性を保っていられなかった。


「ウ・・ウ、ウワァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」


おれの憎しみは全て犯人に向けられた。


ぜったいに殺す!!!!!!!




走馬灯が終わったとき、アレスさんの姿がおれたちの幸せを一瞬にして奪った犯人の姿と重なる。


(ぜったいに殺す!!!!!!!)


「あああああぁぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁああぁあぁあ!!!!!!!!!!!!!!」


おれの理性がまたあのときみたいに崩壊したのはそのときだった・・・




タ「こんにちわ、友達がテストで全部満点とらなきゃいけないといっていたのをきいて同情しているタクミンです^^」

ク「今、本編でやばい状態にあるクロです」

タ「今日はさびしいねぇ・・・」

ク「なんで今日はおれだけなんだ?」

タ「ん~なんかみんな夏休みの宿題に忙しいから来れないって」

ク「ほんとかよ・・・」

タ「う~ん、というわけでクロくんなんかさ、いい勉強法ない?」

ク「おれは何でも教材をやるとき、テキストには答えを書かないんだ。それで間違えた問題には印をつけて正解するまでやりなおす!!!これでOKだぜ」

タ「ふむふむ・・・う~ん、むずかしいねぇ・・・ま、今日はこんなもんでいいか^^がんばったし。でわ次回予告です。なぜか裏切ったアレス。理性が崩壊したクロ。この緊迫した状態からどうなってしまうんでしょう?お楽しみに!!

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