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不思議な人

作者: WAIai
掲載日:2026/08/29

ーよく分からないと言われる。

自分でもよく分からないという時があるが、メンバーみたいに私生活を喋ったり、見せたりしていないからかもしれない。

ー謎の人? それもまた、いいかもしれない。

1人でふと笑うと、舞台の台本を手に取る。

今、主な仕事は舞台の仕事だった。

舞台は今までやってきていなかったせいか、今、メンバーに聞きながら、稽古や本番に臨んでいる。

「大丈夫、僕?」

確認すると、メンバーは優しく言う。

「大丈夫だよ、Gさん。俺よりも上手いかも」

「そんなことはないよ」

しかし言葉が嬉しく、信頼度がますます上がる。

彼ともう1人のメンバーについていけば大丈夫、そう信じていた。

「舞台、また観に行くよ。いつから?」

「えっとね…」

日付を確認し、教えると、Tがスマホに書き込む。

「よし。じゃあGさん、ご飯、食べに行かない? オシャレなレストランなんだけど」

「え。行きたい!! どこ? どこ?」

2人で盛り上がっていると、もう1人のメンバーSが言ってくる。

「マスコミに気をつけて。2人ともぼうっとしているタイプだから」

「そんなことはないよね、Gさん?」

「うーん、どうだろう。自分でもよく分からないからな」

「自分でわからないの? Gちゃん、大丈夫?」

本気で心配しているらしく、Gは真顔でうなずく。

「でもTが一緒だから大丈夫。ー貸し切りってことは?」

「今、ちょっと連絡してみるね」

Tがスマホを操作し、電話をかける。

すくに品の良い声が聞こえ、Tが喋り出す。

「これから食べに行こうと思うんですけど、その、目立ちたくないというか、プライベートなので、ゆっくり食べられますか?」

その質問に、Gは耳を澄ましていると、快い返事が返ってくる。

Tも嬉しそうに、「ありがとうございます。じゃあ」ど言ってスマホを切る。

「大丈夫みたいだよ、Gさん」

「うん、行こう。お腹が空いた。Sは?」

「俺はここに残る。まだやりたいことがあるし」

「そうなの? イラストはできたんだろう?」

「できたけど、まだなの。皆に見えるんだから、しっかり描かないと」

Sは人一倍、プロ意識が高く、何でもできるように思えるが、実は努力家なのだった。

自分も仕事を頑張らければと思いつつ、Tに言う。

「ちょっと洗面台に行ってもいい? 髪の毛をチェックしたいんだけど」

「いいよ、Gさん。車で行く?」

「もちろん。歩きや電車はちょっと…」

と言いつつ、もう髪をいじっている。

Sはそれを見て、ぷっと笑う。

「でた。Gちゃんの髪の毛、チェック。俺からすると、大丈夫だと思うんだけど、早く行ってくれば?」

「うん。じゃあちょっと失礼して」

ドライヤーを持っていくと、洗面台の前に立つ。

今日は晴れているからいいが、雨の日は気になってしょうがなかった。

「あ、少し直さないと。くし、くし…あった」

ドライヤーをセットし、鏡を覗きこみながら、直していく。

ガーっという音とともに、軽快に手を動かしていく。

自分の髪のことは、自分がよく知っているから、手際よく進めていく。

「これでいいかな」

鏡を色んな方向から見て、確認する。

それから服の襟を直し、TとSのところへ戻る。

「できたよ、準備。じゃあ行こうか」

「行こう、行こう!! Sは欲しいものがある?」

「うーん、飲み物かな。何か買ってきて」

「分かった。ー行こう、Gさん」

そう言うと、Tが先に立ち、Gが続く。

年齢的にはGのほうが上なのだが、Tのほうが頼り甲斐があった。

「何が美味しいレストラン?」

「それは…内緒。びっくりさせたいじゃん」

にやりとTが笑ったので、Gは安心して笑う。

彼が正義感の強い性格で、守られている感じがするので、まるで親のような、兄弟のような存在だった。

「じゃあ、俺が運転するから。Gさんは助手席に座って」

「いいの? 助手席って、その、大事な人を乗せるところでしょう?」

マナーを口にすると、Tは構わないと笑う。

「Gさんも大事なメンバーだから。頼りにしているよ」

「T…。君がいてくれて良かった」

胸にじんとくるものがあり、Gは涙ぐみそうになる。

苦しい時、辛い時、支えてくれたのがTだった。

ー彼が僕を信じてくれるから、僕も彼を信じていられる。

しっかりした顔つきになると、自分もTのために身体を張るつもりだった。

周りを素早く見、マスコミがいないのを確認してから、車に乗り込む。

「行くよ、Gさん」

「うん、行こう」

2人は楽しそうに微笑み合い、レストランへ向かったのだった。


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