表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/76

第03節 シースーと脚気 ~にゃの代償と寿司の夜明け~

 三人はワサビ家邸宅を出て、やっと正気を取り戻した。


リュカ「ふー、ひどい目にあったな」

レアナ「なによ、あれだけ私の毛を繕っていたくせに!あー、それより、昨日食べ損なった塩むすびが食べたーい!」

マルボロ「ははは、慣れないうちはそんなものだよ。まあ、一晩匿うという最低限の約束は果たしたな!どうだ、我が家の接待は!」


 マルボロは自信満々に語るが、そのドヤ顔がなんとも癪に障る。


リュカ「すっげー騙された気分だよ」

マルボロ「あれが、我がワサビ家最高の接待なのだよ。ちゃんと、家紋にも表れているだろう」

レアナ「ああ、イネと魚の家紋ね……そうだ、お寿司!」


 出たよ、レアナの寿司依存症。


マルボロ「『お寿司』とやらが何かわからないが、可能な限り協力はしよう」

リュカ「いえ、これ以上ご迷惑をかけるわけには」

レアナ「そうだ、マルボロさん!『お寿司』ってのは、炊いて小さく握ったイネに、ワサビ……っと、ここでは『草』でしたっけ?それをすりおろし、その上に魚の切り身をのせる料理なんです!」

マルボロ「なんだと!それは平民が好む『シースー』にそっくりではないか!『草』を乗せるという話は聞かないが、確か鮮度を保つために使い『シースー』にするときに、全て洗い流しているんだったな」

レアナ「『お寿司』ではなくシースーね!洗い流すなんて勿体ない、あれは優秀な薬味よ!早速、『シースー』を食べてみたいのだけど」

マルボロ「しかしシースーは、ワサビ領でも庶民の食べ物だぞ?全て我が領地で完結してしまうし、本当にいいのか?」


 マルボロは怪訝な顔をして確認してくる。


レアナ「健康にいいのよ!」

リュカ「心の健康の話だろ?あと、寿司ばっかり食べてると脚気になるぞ」

マルボロ「なに⁉リュカ様は、庶民の難病への対策まで知っているのか⁉」

リュカ「なあ、これこそ命律端末の出番じゃないのか、レアナさんよ」

レアナ「そうね、なんか栄養素が足りないんだったかしら」

リュカ「ビタミンB1な、こっちの世界ではビタミンって概念は無さそうだけど」


 レアナは命律端末を取り出して、やり取りを始める。


レアナ「『シースー』が何かわかる?」

命律端末「ワサビ領の民間料理ですね」

レアナ「『シースー』を食べ続けると不足する栄養、それを摂取する方法は?」

命律端末「イネからは失われていますが、それでも鮮魚には豊富なので『シースー』を食べ過ぎなければ問題になりません」

レアナ「足の痺れなどの症状が出て、根治できないのだけど」

命律端末「海藻や玄米の摂取を推奨します、またミーソ汁も合わせて摂取するのも効果的でしょう。豚肉やレバーも効果的です。適度な水分摂取も忘れないでくださいね」


 ここで、リュカが引っかかっていたことを伝える。


リュカ「ちょっと、俺も聞きたいことがあるんだ。庶民の生活環境は、影響してないか?」

レアナ「わかったわ、庶民の生活環境は影響してる?」

命律端末「アルコールの過剰摂取が気になります。それに、日々の過酷な生活も少しずつ見直していきましょう。規則正しい生活を意識してくださいね」


 そうしてレアナは命律端末をしまった。


レアナ「と、いうわけよ」

マルボロ「流石は聖女様、ここまで命律端末を使いこなしていらっしゃるとは」

リュカ「それよりも、施策をするのがマルボロさんの仕事じゃないんですか?」


 マルボロは少し考えてから、言葉にする。


マルボロ「ひとまず集めやすい海藻から着手して、ミーソ汁に関しては補助金を出す代わりに、提供を義務化しよう」

レアナ「あとは労働環境の改善も必要じゃない?」

マルボロ「そうは言うけどな。具体的に、どうすればいいのだ?庶民達は自分たちの生活に必要だから、あれだけ働いているのだろう?」

リュカ「だよなぁ、収入に関わることだから、あまり手を出せないのもわかる」


 時代どころか世界が違うのだ、労働基準法みたいな制度を導入するのは無理がありすぎる。


レアナ「そうそう、酒は上限量を領内法で定めたらどうかしら」

マルボロ「確かに、マギ様の言い分からすると必要なんだよな。ただ、庶民の反発は凄まじいものになるだろう」

リュカ「なあ、マギは幸せになるための助言をするだろう?だったら、その助言がきちんと耳に届く言葉とか、そういうのを広めればいいんじゃないか?」

レアナ「そうね、寿司……じゃないわ、シースーに海藻をつけて出した所で、食べるとは限らない。まずは、シースーの店に行ってみましょう!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「小説家になろう」のアカウントでお読みでしたら、感想や評価をいただけると励みになります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ