第三十六話:終結 — 狂信を従える女王(逆ハーレムエンディング)
ロゼリアの「自らが支配者となる」という選択は、シリルにとって最高の取引材料となった。
シリルは、ロゼリアが提供した王室の裏情報と四人の独占者の秘密を巧みに利用し、エドガー王太子を「婚約者誘拐事件の被害者」として擁立し、失脚した国王の譲位へと導いた。ロゼリアはエドガーを公的な夫としつつ、裏で権力を掌握。史上最年少の女王として即位した。
「ロゼリア女王陛下。貴女の冷徹な支配は、この国の永遠の繁栄を約束します。貴女の狂信的な独占者たちは、全て女王の最も忠実な道具となる」
シリルは「女王直属の情報顧問」という形で、裏と表の世界を操る影の支配者となり、ロゼリアの最大の共犯者となった。
ロゼリアは、五人の男たちの狂信的な執着を、排除するのではなく、「国家の維持」という公的な義務へと昇華させた。彼らは、女王の威厳と安全を守るためだけに存在する「五つの柱」となった。
エドガー(公的な夫):
公にはロゼリアの王配として振る舞うが、実際の権力は完全に剥奪された。彼は、女王の地位を盤石にするための唯一の道具として、ロゼリアの**「夫婦の愛」という名の冷たい独占を受け入れた。彼は、ロゼリアへの支配欲を、公的な忠誠という形でしか表現できなくなった。
ライナス(武力の独占):
女王直属の近衛騎士団長として復権。彼の血の誓いは、「女王陛下の安全」という一点に捧げられた。彼の狂信的な献身は、女王の私的な護衛という形で独占され、ロゼリアの体に近づく全ての脅威を、無言の剣で排除し続けた。
ユリウス(知性の独占):
女王直属の魔術庁長官として、魔力研究の全権を委任された。ロゼリアの規格外の魔力は、国家の最強の力として公的に認められ、ユリウスの研究テーマとなった。彼は、ロゼリアの魔力と知性を、「国家の発展」という名のもとに永遠に解析し続けるという形で独占した。
ノア(影の独占):
全ての記録から存在を消され、「女王陛下の最も私的な侍従」となった。彼は、ロゼリアの衣食住と私的な空間を完璧に管理し、誰にも見えない場所で、ロゼリアの「平穏」という名の感情的な独占を続けた。彼の狂信的な愛は、女王の孤独な心に寄り添う唯一の影として昇華された。
シリル(情報の独占):
「女王直属の情報顧問」として、王室の最高機密に触れる権利を得た。彼の独占欲は、ロゼリアの運命を操作することから、「女王の支配構造」を裏から完璧に維持することへと変わった。彼は、ロゼリアを唯一の顧客として、永遠に尽きない情報という名の利益を得続けた。
ロゼリアは、豪華絢爛な王宮の私室にある玉座に近い椅子に座している。夜が更け、公務を終えた五人の男たちが、彼女の絶対的な権力という名の光に引き寄せられ、そこに集まっていた。
彼らの視線は、互いの存在を敵と見なし、常に張り詰めた緊張感の中で交錯する。この熱と冷たさの均衡こそが、ロゼリアの女王としての平穏を支える柱だった。
ロゼリアは、その中心で、優雅に口を開いた。
「ご苦労。……今宵も、私の支配は完璧に維持された。貴方たちには、女王の承認と、特別な対価を与える」
ロゼリアは、まず公的な夫であるエドガーを呼んだ。
エドガー(公的な独占の対価):
「エドガー。貴方の王配としての演舞は完璧だ。国民は、我々二人の愛を信じている」
ロゼリアは立ち上がり、エドガーのロイヤルブルーの乗馬服の襟に手をかけ、冷たい唇を彼の唇に重ねた。それは一瞬の公的な確認であり、「貴方は私のものだ」という支配の宣言だった。
エドガーの瞳には、妻の愛ではなく女王の支配だと理解しながらも、満足と屈辱が混ざり合った熱が宿った。
ライナス(武力の独占の対価):
次に、ロゼリアは騎士ライナスに視線を送った。ライナスは部屋の入り口から動かず、他の四人への警戒を解かない。
「ライナス。貴方の血の誓いは、私の安全を完璧に保証している。貴方の忠誠こそが、私の女王としての礎だ」
ロゼリアは彼の元へと歩み寄り、彼の額に、冷徹な感謝のキスを贈った。
「ご褒美は、『私に触れる権利』ではない。『私を守り続ける義務』だ」ライナスの琥珀色の瞳は、女王の冷たさと彼の献身という矛盾に燃え上がった。
ユリウス(知性の独占の対価):
「ユリウス。貴方の魔力制御技術は、私の存在を国家の最強の力として完成させた。貴方の知性は、私の最高の道具だ」
ロゼリアは、彼が持つ魔力解析のデータタブレットを優雅に撫で、彼の頬に、冷たい理性のキスを贈った。
ユリウスは研究対象の肉体に触れた喜びに震えたが、そのキスが「データ」への対価だと理解し、彼の冷たい情熱はさらに深く、ロゼリアの魔力という秘密への執着へと変わった。
ノア(影の独占の対価):
「ノア。貴方の影の献身は、私の私的な平穏を維持する。貴方の狂信は、私が女王であるための唯一の癒やしだ」
ロゼリアは、ノアの黒の侍従服の襟元を掴み、彼を自分だけの密かな場所へと引き寄せた。そして、彼の耳元で囁き、その耳の下に、罪悪感と安堵のキスを落とした。
ノアの瞳は狂喜に燃え上がった。他の誰にも見えない場所で、女王の私的な心に触れる特権。ノアは、この見えない独占こそが、他の誰よりも優れていると確信した。
シリル(情報の独占の対価):
シリルは最後に、影の中から現れた。
「女王陛下。彼ら四人の狂信の均衡こそが、私への最大の情報であり、最高の利益です。貴女の冷徹さに、感謝を」
ロゼリアは、シリルに他の四人が見ている前で、自らの指輪をはめた手を差し出した。シリルは優雅にそれにキスをしたが、ロゼリアは彼の耳元に、誰も聞き取れない最も危険な情報を囁いた。
「シリル。貴方がこの国を裏切る日の対価は、私自身の秘密と、貴方の命だわ」
ロゼリアは、再び玉座に近い椅子に座り、五人の狂信者を優雅に見渡した。
彼らの瞳には、女王のキスという名の毒が注入され、嫉妬、支配欲、忠誠、知性、そして情報が、狂おしいほどの熱で交錯していた。
(私は、誰も愛さなかった。だから、彼ら五人の、最も深い執着を、私だけのものにした。私の王冠は、彼らの永遠の熱狂でできている……)
彼女の唇に、支配者として、そして悪役令嬢として、最も冷徹で、最も甘美な微笑が浮かんだ。
「ご苦労。……今宵も、私の平穏を、その命と執着と引き換えに守りなさい」
狂信を従える女王は、ここに永遠の独占という形で、最も色っぽく、最も不穏な終幕を迎えた。
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