表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は処刑を回避し、最凶の逆ハーレム女王となる  作者: ましろゆきな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/25

第二十一話:帰還の絶望と、シリルの囁き

 ロゼリアがユリウスへの協力を選択してから数日。異界での生活は、ノアの完璧な献身と、ライナスの圧倒的な防御力によって、「極度に安定した密室」と化していた。


 しかし、ロゼリアの心は晴れなかった。彼女の「絆されたふり」は、ユリウスの狂信的な研究を加速させ、エドガーの嫉妬を燃え上がらせ、ライナスの血の献身**を深めるだけだったからだ。



 ロゼリアの魔力データと異界の法則を組み合わせた研究は、順調に進んでいるように見えた。だが、ユリウスの表情は日を追うごとに険しくなっていった。


 ある夜、ユリウスは焚き火の前で、ロゼリアに冷徹に告げた。


「ロゼリア嬢。転移の数式は完成した。貴女の魔力があれば、理論的には元の世界に戻れる」


 ロゼリアの瞳に、一瞬の希望の光が宿った。


「では……」


「だが、不可逆だ」ユリウスは遮った。


「この異界の魔力は、元の世界には存在しない物質と結びついている。帰還するには、元の世界から特定の希少な魔導具、あるいは過去の実験データを転送し、この異界の法則を強引に上書きする必要がある」


 ロゼリアの希望は一瞬で打ち砕かれた。この異界で、外部との通信手段など存在しない。


「つまり、元の世界から特別な知識を持つ誰かが、私たちの救出を試みなければ、ここは永遠の檻だ」


 ユリウスの告白は、ロゼリアだけでなく、エドガーとライナスにも重い絶望をもたらした。彼らの武力や献身が、「帰還」という最大の目的には無力であることを示したからだ。



 ノアだけは、この絶望的な状況に静かな優越感を抱いていた。


(ロゼリア様。外の世界は、貴女を殺そうとする支配と、奪おうとする煩雑さに満ちています。この異界こそ、私とロゼリア様だけの永遠の平穏なのです)


 ノアは、ロゼリアのために熱いスープを差し出し、彼女の疲れ切った心に「生活の安定」という名の依存を刷り込んだ。


 一方、エドガーは完全に理性を失っていた。


「くそっ!私は王族だぞ!私が知らぬ知識などあってたまるか!この場所で、私の武力が役に立たぬというのか!」


 エドガーは嫉妬と無力感から、異界の植物を剣で切り倒し、「支配」という本能的な行動を暴発させた。



 ロゼリアは、この状況で「救いの手」となり得る唯一の存在を思い出した。情報屋シリル・ジェットブラックだ。


(シリル様なら…ユリウス様が必要としている「特別な情報」、あるいは「魔導具」の出所を知っているかもしれない。彼は、常に世界を外から観察し、知識で全てを支配する男だ)


 ロゼリアは、ユリウスに近づき、小さな声で尋ねた。


「ユリウス様。元の世界に、裏社会の情報を通じて王城の極秘研究データを盗み出せるような人間がいるとしたら…その人物は、この数式の答えを知り得るでしょうか?」


 ユリウスの瞳が、ロゼリアの問いに冷たく光った。


「……可能性はゼロではない。その情報屋が私の理論を理解できるだけの知性と、行動力を持っているならば、話は別だ。だが、彼は必ず対価を求める。貴女の運命を対価としてな」


 ロゼリアは、恐怖を感じながらも、生存のため、そして帰還という最後の平穏のために、シリルに全てを賭けるという、究極の選択を心に決めたのだった。

ここまでお付き合いいただきありがとうございます!

物語は終盤に向けて、ロゼリアの決断が近づいてきています。

ヤンデレでヤンデレを制することはできるのか?

ヤンデレ五人衆それぞれのエンディング(個別マルチエンディング)に向けてひた走っております。

もちろん逆ハーレムエンディングも準備しております!

最後までどうぞよろしくお願いします。

評価、ブクマ、リアクション、感想、すべて執筆の励みになっております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ