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バディの俺等~特殊課 救援対応部~  作者: 猫の真
α 資料整理の依頼!
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α 資料整理の依頼!

署内地下2階。そこの1室。というかフロアの半分。

ここにはパソコンで見れる資料とは別で、俺やレイより先輩の警察が集めた昔の資料、ファイルやスクラップブックが大量に保管されている。

今はもう解決した事件も、時効を迎えた事件も、まだ捜査中の事件も。

全部警察にとっては大切な資料。だけどそのままだと資料を探したいときに非常に面倒だ。

だから、捜査中のものから順にデジタル化している。

方法は原始的。ファイルの中身1つ1つをスキャンさせる。

スキャンさせても文字が見にくかったり、手書きの文字が含まれてたらそれをわざわざ見てテキストデータとして残したり。

そういうことをしているデータ課のお仕事を、今は手伝っている。

言われた資料を探してあげたり、データ化が終わった資料を戻したり。

もう何度か手伝っているが、だいぶ人使いが荒い。

まぁ、フロアの半分もある資料をデータ化しろって言われてるんだし、そらそうだよなぁ、と同情の気持ちが勝っているので言われた通りに依頼をこなす。


『すみません。この事件の資料集めてもらえませんか?』

「はぁ~い。」


言われた資料を指定の場所に置いてすぐ、データ課の人に付箋紙を渡される。

もう時効を迎えた事件の資料。殺人事件だ。

レイはレイで扱いの荒い人にあたって、3件くらい持ってくるよう言われてるみたいだけど。

付箋紙には該当の資料がどの棚にあるのか丁寧にかかれていた。

だから、フロア案内図と吊り下げ看板、付箋紙を都度見ながら移動すれば、目的の棚にたどり着いた。


「立花だから…た、た…あった。」


フロアのだいぶ端。昔の資料だからこんな端にあるんだろう。

フロア自体、節電ですごい間を開けて電気が付いてるから薄暗さが目立つ。

前の遊園地の件で怖さがふんわり出てきたが、頭を振って見つけたファイルを引き出す。

ファイルを引き出してできた隙間。そこを見ると、並んだファイルの後ろに別のファイルが挟まっていた。

このフロアの管理をしているデータ課の人は几帳面な人が多いからこんなファイルあるわけないのに。

必要なファイルをちょっと離れた床に置いて、棚裏に挟まっているファイルを取るために、いくつかのファイルをまとめて抜き取る。

抜き取ったファイルを、必要なファイルとは反対の床に置いて、挟まっていたファイルをどうにか取る。

それは、他のファイルよりも古く、テプラではなく手書きで事件名が書かれていた。


「だ、大規模?ゆうかい事件、かなぁ。」


手書きの文字が年季の入った文字で憶測だが多分そう。

年数的にも時効を迎えているやつだ。

手に取ったついでにと中身を確認する。

それは、ファイルと言うよりスクラップブックで、誘拐事件に該当する新聞の切り抜き、ネット記事の印刷まで貼ってある。


「あ、この新聞の孤児院、俺のだ。懐かしいなぁ。」


ある1ページに貼られた新聞の切り抜きにかかれていた場所に目が留まる。

誰がどうとかは書かれていないものの、孤児院名だけは書かれている。

それは、俺の記憶の始まりからいる孤児院の名前で、とてもお世話になった所だ。

そんな所で誘拐事件が起きてたなんて。

確か俺は小学生上がってしばらくしてから、今の両親に会ったから…それを考えたら…丁度俺がいる時期?あれ?どうだっけ?

よく覚えてない…もし起きてたとして、両親と出会って嬉しくて忘れちゃってる?

う~ん。

でも、記憶がある内からこの孤児院にはいたし、先生の名前も一応覚えてる。

他の子の見た目とか、声とか名前は流石に忘れたけど。

美味しかったご飯とか、初めて作ったおにぎりとか。あと…あと…?


「赤い服…」

「集夜。」

「!!?!?!」


孤児院のことを思い出していたら突然レイの声が聞こえて、思わず手に持っていたスクラップブックをちょっと上に投げて落としてしまう。

びっくりした…


「何してんの?ファイルそんな散らかして。」

「あぁ、えっと。言われたの探してたら、置かれてないやつあったから。」

「へぇ、どれ?」

「これ。」


レイはファイルを踏まないように近づきながら、俺が何をしていたのかを聞いてきた。

なので、説明する。そのスクラップブックも拾って見せる。

レイは、そのスクラップブックを見て、受け取った。中身を見た。

雑に数ページ開いて、吊り下げ看板だったりをキョロキョロしだした。


「…これどの棚にあった?」

「ここだよ。ファイルの裏に挟まってた。」

「じゃあこの棚のものじゃないね、これ。」


レイはスクラップブックを閉じて持ったまま、どの棚に会ったのかを聞いた。

俺は、そのスクラップブックを抜き出すために隙間の開いた棚を指さしてあった場所を伝える。

すれば、レイはそのスクラップブックがそこに置かれるべき資料じゃないことを教えてくれた。

さっきキョロキョロしていたのは場所の確認をしていたのか。


「え、データ課の人が間違って置いたの?」

「か、データ課が整理整頓するより前に置かれててそのままだったとか。」

「あ~可能性はありそう。」


データ課の人がそんなミスをするなんて、と思ったが、レイの言うように今のデータ課という課ができる前にここがあったとして、その時に雑に置かれたのであれば納得はできる。

レイはそれ、どうするんだろう。


「俺これ片しとくよ。」

「場所わかるの?」

「感で行く。」

「怒るよ?あの人ら。」

「大丈夫大丈夫。集夜はそれ片付けて持ってきな?」

「…うん!わかった。じゃあよろしく!」


レイはそのスクラップブックを正しい場所に戻すらしい。

この広いフロアで初めて見る資料をもとに戻せるのか?と思ったが感で進めていくなんて、几帳面なあの人達がブチギレそうだ。

その時はレイのせいにしよう。俺は拾っただけだし。

レイも大丈夫って言ってるしね!

レイは俺に与えられた依頼をさっさと終えるよう言って、スクラップブックを適した場所に戻すため、棚の軍団に戻って行った。

俺も、レイに言われた通り、あのスクラップブックを引き抜くために出したファイルを元に戻して、必要なファイルだけを手にとってデータ課の人の所へ向かう。

孤児院のこと。な~んかあった気がするんだけどなぁ…ま、いっか。

向かいながら腕時計を見れば、時間はお昼時を指していた。

お昼だし、レイと一緒にお昼ごはん食べにいこ~。

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