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ダンジョンで出会いを求めるのは間違っている  作者: 七星鈴花


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第61話「A級の重みと新たな誓い」

 俺がギルドマスターの部屋から出ると、グレイとリリアが、心配そうな顔で俺を待っていた。


「ミナト、どうだったんだ? ギルドマスターに、何か言われたのか?」

「ミナトさん、大丈夫……?」


 二人の視線が、俺に集中する。

 俺は、どう説明すればいいのか分からず、ただ黙って、握りしめていたA級のライセンスプレートを二人に見せた。


「……は?」


 グレイが、間の抜けた声を上げた。あのグレイが、心底から驚いた顔をしている。


「これ……A級のプレート……? おい、ミナト、どういうことだ、これは!」

「ギルドマスターが、特例だって……。俺が提出した地図が、重要機密扱いになるから、その功績で、秘密裏に……」


 俺がしどろもどろに説明すると、リリアも信じられないというように目を見開いた。


「ミナトさんが、A級に……? すごい……! すごいよ、ミナトさん!」


 リリアは、手放しで喜んでくれた。その純粋な笑顔に、俺は少しだけ救われた気持ちになる。


「……チッ。とんでもねえ、飛び級じゃねえか」


 グレイは、頭をガシガシと掻きながら、呆れたように言った。


「これで、お前も俺たちと名実ともに、肩を並べたってわけか。気に食わねえがな」

「俺だって、まだ実感が湧かないよ。実力は、まだ全然追いついてないのに……」


 俺は、手の中にあるプレートの重みを感じていた。これは、ただの称号じゃない。ギルドからの、この世界からの、重い期待だ。


「フン。なら、話は早え」


 グレイは、ニヤリと口の端を吊り上げた。


「いつまでも、ひよっこ扱いはしてやれんくなったな。明日からの訓練、さらに厳しくする。文句はねえな、A級冒険者様?」

「……望むところだ!」


 俺も、不敵な笑みを返した。

 そうだ。ランクに、俺自身が追いつけばいい。このプレートに相応しい実力を、これから身につければいいんだ。


 その日の夜、俺たちは祝杯を上げた。もちろん、俺はまだ酒が飲めないので、果実水だが。


「改めて、おめでとう、ミナトさん!」

「ああ。ありがとう、リリア」

「これで、俺たちのパーティーは、A級が三人か。ギルドでも、そうそういねえぞ」


 グレイが、エールを飲み干しながら言う。


「なあ、グレイ。A級になったら、何か変わるのか?」

「ああ。受けられる依頼のランクが上がるだけじゃねえ。ギルドの最深部にある書庫への立ち入りも許可される。そこには、『アビス』の古い伝承や、過去の特異な事象に関する記録が眠ってる」

「『アビス』の、古い伝承……」

「そうだ。もしかしたら、リリアの探し人や、『監視者』とやらに繋がる手がかりが、そこにあるかもしれん」


 グレイの言葉に、俺とリリアは顔を見合わせた。


「目的が、また一つできたな」


 俺は、自分のA級プレートを握りしめた。


「ああ。まずは、そのプレートに見合う実力をつけること。そして、書庫の情報を洗い出す。やることは、山積みだ」

「うん!」


 リリアも、力強く頷く。

 俺たちは、再び同じ目標を見据えていた。


 A級冒険者。それは、ゴールじゃない。俺たちの本当の戦いを始めるための、ようやく手に入れたスタートラインなのだ。


 俺は、明日からの訓練が、そしてその先に待つ未来が、楽しみで仕方なかった。

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