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ダンジョンで出会いを求めるのは間違っている  作者: 七星鈴花


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第44話「最後の賭けと星屑の輝き」

「ミナト、やめろ! 無駄死にするだけだ!」


 背後から、グレイの苦しげな声が飛んでくる。


「無駄死にするもんか。俺は、あんたたちを助けるって決めたんだ!」


 俺は、振り返らずに叫び返した。


「リリア! 頼む!」

「……わかった」


 一瞬の沈黙の後、リリアの覚悟を決めた声が響いた。


「ミナトさんに、聖なる力の全てを! 聖なる光よ、彼の者に力を! 風の如き俊敏さを、彼の者に!」


 リリアの絶唱に応え、これまでとは比較にならないほどの眩い光が俺の身体を包み込んだ。力が、体の奥底から、血管を駆け巡って溢れ出してくる。


「ほう……。土壇場で、面白い選択をするのね」


 玉座から、監視者の少女のどこか感心したような鈴の鳴るような声が聞こえた。


「でも、それで、あのリーパーに届くのかしら?」


 リーパーは、深手を負ったグレイにはもはや興味を失ったのか、新たな脅威である俺を、その空虚な目で捉えていた。

 周囲の雑魚どもが、俺を止めようと一斉に襲いかかってくる。


「邪魔だ!」


 俺は、『星詠み』を振るった。

 強化された身体能力のおかげで、剣の速度も、威力も、これまでとは段違いだ。

 雑魚の群れが、まるで紙切れのように吹き飛んでいく。一直線に、リーパーへと続く道が開けた。


「行くぞ……!」


 俺は、地面を蹴った。

 リリアの魔法で、身体が羽のように軽い。景色が、後ろへ飛んでいく。

 リーパーが、俺を迎え撃つために、その巨大な鎌を振りかぶった。

 速い。だが、見える。

 グレイとの訓練のおかげで、強化された視力のおかげで、その一撃の軌道が、はっきりと見えた。


「そこだ!」


 俺は、振り下ろされる鎌を、最小限の動きで潜り抜ける。そして、がら空きになったリーパーの懐へと、一気に飛び込んだ。


「うおおおおおおおっ!」


 俺は、力の全てを、『星詠み』の切っ先に込めた。

 狙うは、ただ一点。奴の胴体の中心。そこだけ、他の甲殻とは違う鈍い光を放つコアのようなものがある。あれが、弱点だ。


 剣を、突き出す。その瞬間、俺の脳裏に、声が響いた。


『――星よ』


 『星詠み』の声か? いや、違う。もっと、俺自身の魂の奥底から聞こえるような声。


『――星の輝きを、この一振りに』


 俺は、無意識のうちに、その声に応えていた。


「喰らえええええっ!」


 俺が突き出した『星詠み』の刀身から、これまでとは比較にならないほどの、眩い光が溢れ出した。

 それは、ただの光の斬撃ではない。白銀の騎士が放ったあの技。

 無数の星屑が、螺旋を描きながら一つの巨大な槍となり、リーパーのコアを、正確に貫いた。


「ギィイイイイイイイイイアアアアアアッ!」


 リーパーの、断末魔の絶叫が、星空の広間全体に響き渡った。

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