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ダンジョンで出会いを求めるのは間違っている  作者: 七星鈴花


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第27話「鍛冶屋と情報屋と世界の裏側」

 翌日、俺たちはグレイに連れられて、昨日とは違う職人たちが集まる地区へと向かった。

 カン、カン、というリズミカルな金属音が、あちこちから聞こえてくる。


「まずは、鍛冶屋だ。お前のそのボロい服と、リリアのローブじゃ、次の探索はもたん」


 グレイが足を止めたのは、ひときわ大きな槌の看板を掲げた店だった。


「よう、ドバル。いるか」


 グレイが店の奥に声をかけると、火傷の痕がたくさんある、岩のように屈強なドワーフが顔を出した。


「おお、グレイじゃねえか。その怪我、また無茶しやがったな。で、そっちの連れは?」

「こっちはリリアと新入りのミナトだ。こいつらの装備を一式、見繕ってほしい」

「へっ、お前さんが新人を連れるとはな。面白い」


 ドバルと呼ばれたドワーフは、俺の全身を値踏みするように見た後、俺の背中にある『星詠み』に気づいて、目を細めた。


「……なるほどな。そいつが理由か。とんでもねえ逸品を持ちやがって。こりゃあ、生半可な防具じゃ、剣とのバランスが取れねえぞ」

「金なら、ギルドからの報酬がある。見習いじゃなく、一人前の冒険者として動けるだけの装備を頼む」

「任せとけ。採寸するから、こっちに来な、坊主」

 

 俺はドバルに言われるがまま、体のあちこちのサイズを測られた。


「ふむ……。お前さん、見た目よりは骨格がしっかりしてるな。グレイに扱かれてるなら、すぐに身体もデカくなるだろう。少し大きめの革鎧と、手甲、すね当てあたりがいいだろうな」

「よろしく、頼む」

「リリア嬢ちゃんには、動きやすくて防御魔法がかかったローブを用意してやる。三日もあれば、全部揃うだろう」


 鍛冶屋を後にして、次に俺たちが向かったのは、さらに裏寂れた、いかがわしい匂いのする地区だった。


「次は、情報屋だ」

「情報屋って、こんなところにいるのか?」

「ああ。まともな情報は、まともじゃない場所でこそ手に入るもんだ」


 グレイが足を止めたのは、何の変哲もない、寂れた酒場だった。昼間だというのに、中は薄暗く、客もまばらだ。


「あら、グレイじゃない。珍しいわね、こんな昼間から」


 カウンターの奥で、気怠そうにグラスを拭いていた妖艶な雰囲気の女性が声をかけてきた。


「少し、聞きたいことがある。ラナ」

「情報料は安くないわよ。特に、A級冒険者様からのお仕事ならね」


 ラナと呼ばれた女情報屋は、にやりと笑う。


「こいつら二人について、何か知ってる奴がいないか、街の連中に探りを入れてほしい」


 グレイは、俺とリリアを指さした。


「このガキはミナト。見ての通り、最近この街に来たばかりの、E級のひよっこだ。だが、見ての通り、『星詠み』なんていう、とんでもねえお宝を持ってる」


 ラナの目が、俺の剣を見て鋭く光った。


「それから、こっちのリリア。こいつは、昔このアークライトで別れた『誰か』を探してる。名前も顔もわからん。ただ、銀髪で、翠色の瞳の女を探してる人間がいなかったか、古い情報も含めて洗ってほしい」

「……なるほどね。厄介な依頼を二つも持ってくるなんて、人が悪いわね」


 ラナはため息をついたが、その目は商売人のそれに変わっていた。


「わかったわ。やってみましょう。ただし、情報料は前金で金貨二十枚。成功報酬は、情報の価値次第よ」

「それでいい」


 グレイは、あっさりと金貨をカウンターに置いた。


「じゃあ、また三日後に来なさい。それまでに、何か面白い話が聞けるようにしといてあげるわ」


 ラナは、金貨を懐にしまいながら、意味ありげに微笑んだ。

 俺は、この街の光が当たらない裏側の部分を、初めて垣間見た気がした。

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