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最終決戦編 -7

 すると、ヴァイスはその鋭い視線を見つめ返す。


「つまり、これまで苦しんできたであろう君の人生は、平和の生贄なんかじゃないってことだよ。」


 ドクン。──その瞬間、ヴァイスの揺るぎない真っ直ぐな瞳が、ラズリの無色に馴染む鼓動に鮮やかな血色を懐古(かいこ)させる。


「そんなこと…分かってる。分かってるのよ…。それでも、後ろを振り返ると、いつもそこにある痛みを忘れて、今を生きることはできない。だから、あなたが何を言おうとも私は全てを拒絶する。」

──真零魔法…。


「あぁ、それでいい。」

──神聖炎魔法、アグニ・ウィルベル。


 ヴァイスが腕を振り上げる動きに呼応し、ラズリの足元から白炎が竜巻のように渦巻いて燃え上がる。

 そして、ヴァイスは奥に立つシュヴァールの手をサッと取り、ラズリから離れる。


「シュヴァールさん、今度は俺に助けさせてよ。」


「あぁ…。気づかぬ間に、あの頃から見違えるほどにだんだんと大きくなっていた君の背中を、私は誇らしく思うよ。今の私にできるのは、その強く優しい背中を見送ることだけだ。ただ、これだけは言わせてほしい。ヴァイス、ありがとう。」

──逃げてほしいと言えるはずもなかった。その理由はただ一つ。ヴァイスの顔を見た瞬間、離れたくないという気持ちが溢れていた。


 シュヴァールの引きつった笑顔にヴァイスは頷き、背を向けて歩き出す。

 その先には、既に白炎を難なく消し飛ばし、無愛想に睨みながら髪を耳にかけるラズリが待ち構えていた。


「私の視界を遮り、距離を取る。おまけにおじいちゃんまで助けて…まるで英雄(ヒーロー)ね。真零魔法、ニヒル·アンチベーゼ。」


 深海から湧き上がる気泡のように透明で真っ暗な形のない虚空が、ラズリの手のひらから放たれ、ヴァイスに向かって突き進む。


「また君はそういうことを…。悪役(ヴィラン)になったつもりか?神聖炎魔法、アロンダイト。」


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