最終決戦編 -6
レギルは、シュヴァールに顔を向けると、ぼやけた横目に、門前で立ち尽くしたヴァイスの姿が映る。
「シュヴァール、ヴァイス…俺は嬉しかったんだ。お前たちが居てくれて…。」
レギルは足の力が抜け、膝から崩れ倒れる。
すると、息を忘れたように唖然と固まっていたシュヴァールは、レギルの方にハッと顔を振り向かせる。
「絶対、死なせない。真聖時間魔法、クロノス·エデン。」
シュヴァールは別次元に時間が完全停止した世界を構築する。そして、シュヴァールの魔力がレギルに触れた瞬間、その姿は目の前から消え去る。
それを見たラズリは、瞬きを繰り返し、膝立ちのまま周囲をキョロキョロと見渡す。そして、シュヴァールを睨み上げる。
「勇者の死に様を晒してこそ、断罪の意味は果たされる。それに、彼を庇おうが無意味よ。そう…無意味なのよ、何もかも…。さぁ、もう一度、勇者をここに。それとも、あなたも私が願う平和の生贄になりたい?」
すると、シュヴァールはラズリから視線を逸らし、ふと正面に顔を向ける。その親愛と動揺が葛藤する瞳に映るのは、門を踏み越え、二人の元へゆっくりと歩き進むヴァイスの姿だった。
ヴァイスは冷静沈着な面持ちでラズリの背後に立ち、彼女を見下ろす。
「君は俺たちが願う平和を知って、そう思ったの?」
静かな足音に気付かず、突然聞こえた声に、耳を震え立たせながら振り向き、ヴァイスの顔を見上げる。
「は?あなた誰なの?」
「俺はクリム・ヴァイス。そこにいるシュヴァールさんの家族だよ。君は?」
「…スピカ・ラズリ。突然何なの?私、あなたが言いたいこと、全然分かんないんだけど?」
そう言って、ラズリはヴァイスを睨み上げながら立ち上がる。
すると、ヴァイスはその鋭い視線を見つめ返す。
「つまり、これまで苦しんできたであろう君の人生は、平和の生贄なんかじゃないってことだよ。」




