最終決戦編 -4
「魔法のない世界のために、ここで勇者を断罪する。私は過去の傍観者では終われない。」
すると、シュヴァールは一歩前に足を踏み揃え、一息吸う。
「無色の魔力を纏う少女よ、君にとって武力の歴史は罪か…。なら、まずは語ろうか。私は陽翼の皇剣参謀総長、クリム・シュヴァール。きっと君からすれば、罪の根源と言えるだろう。」
ラズリはシュヴァールに視線を向けるが、すぐにレギルの方へ視線を逸らす。
「罪を語る?そんな必要はないし、興味もない。私はただ、無力に抗い続けた過去に意味がほしいだけなの。だって、皆が当たり前に持ってる魔法を否定するためだけに、生きてきたんだから。」
──馬鹿だよね…。羨ましかった魔法が、今さら天から降ってきたみたいに使えるようになって、嬉しい…なんて思って…。ほんと、私って馬鹿。
レギルはシュヴァールに足並みを揃えて立つと、肩に手を添えて、静かに首を振る。
そして、さらに一歩前へ踏み出し、ラズリに手のひらを差し伸べるように、腕を突き出す。
「俺は君の痛みを知らずに平和は語れない。だから君の望み通り、言葉ではなく魔法で語り合おうか。同じ方向は見えずとも、互いに向き合えば見えるものもあるだろう。」
「あなたがどれだけ目を凝らそうとも、私の魔法は無彩でしかないのよ。|零魔法纏い(エンアルヒ·ミデン)。」
ラズリは虚無を全身に纏わせると、力強く踏み出し、レギルに向かって駆け迫る。
執念か没頭か、強く握られたラズリの拳が空を切り裂き、レギルが構え立てる掌と打ち合う。
その二人の衝突が響き鳴らす、柄杓で撒く水が石畳を打ち叩くような音色に、ラズリの吐息の途切れが入り混じる。
「どうして。どうして。どうして…私は弱いままなの?魔法なんて嫌いだ。魔法の世界に抗い続けて生きてきた私の人生は、無駄だったの?」
ラズリは殴る拳を止め、無気力に膝をつく。




