勇者決戦編 -10
レギルは両腕を広げ、風を靡かせるように大きく振るい、まるでオーロラのような純白の光のベールで自らを囲い込む。
「神聖光魔法、スーリア·ガーディン」
それは、白炎の竜巻の勢いを抑え、海月の傘が広がるように受け流す。
そのとき、ヴァイスは力強く踏み込むと、まるで天使になったかのような白炎の翼を背中に生やす。そして、炎を足から地面に向かって噴射し、翼を大きく広げて天井へ飛び立つ。
「神聖炎魔法、アロンダイト」
ヴァイスが腕を伸ばし、手のひらを掲げると、迸る純白の火花が天の川銀河を描くような火柱を上げると、龍のようにうねりながら縒り細く、鋭く連なり、白閃の刃と化す。そして、それを握り、レギルに向かって飛び降りていく。
「神聖光魔法、ケラウノス」
レギルの手のひらに純白の光粒が集まり、剣の形を成すと、迫り落ちてくるヴァイスの剣に力強く振るう。
互いに切っ先を震わせ、譲れない押し合いが続く中、早まる鼓動を霞ませるように、二人の吐息音が揺らめき漂う。
そして、レギルは歯を食いしばり、眉を寄せてヴァイスを睨みつける。
「貴様…まさか最強の舞台へ上がって来るとはな。だが、この千秋楽で最後に立つのは俺だ。理想では何も変わらない。何も変えられない。勇者という唯一の価値こそ、平和へ導く力そのものだ。」
その怒鳴る大声にビクともせず、レギルの鋭い視線をヴァイスは真っ直ぐ見つめ返す。
「レギルさん、僕は最後まであなたと立つよ。最強が一人じゃないってことを証明するために。そして、一人になろうとするあなたを離さないために。」
レギルが不意に目を逸らすと、横目にシュヴァールの姿が映る。
「一人になりたいと現実を見ている俺に、貴様たちは一人じゃないと理想を見せている。それこそ身勝手だ。それを証明した先に何がある?唯一の存在価値を失った俺に、一体何が残る?」
その視線をなぞるヴァイスは、歯を食いしばり、鼻から大きく息を吸い上げる。
「そのために、俺たちがいる。あなたには、一人の弱さを知ってほしい。そして、あなたの願う平和の中に、勇者であるあなた自身がいることを知ってほしい。きっと、シュヴァールさんもあなたとの平和を望んでる」
レギルはハッとしたように目を見開き、ヴァイスの顔に瞳を向け直す。




