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勇者決戦編 -2

伍宮雲閣(アンペ・カプリス)、今回の議題は、魔王がいない世界についてだ」


 アテン王国が建国されてから今日に至るまで、魔法は魔獣や魔王を倒すための武力だった。しかし、魔王が倒された今、その役目は終わりに向かいつつある。それはつまり、王家の魔法権力としての武力支配社会が変わるかもしれないということだ。


 ヴァイスは不意に口を開いた。


「魔法とは何か。それをもう一度考え直すために、僕らは集まった…ということですか?」


 すると、シュヴァールはヴァイスに顔を向けて頷く。しかし、レギルはため息をつき、目線を下に向けたままだった。


「魔法は武力。それに変わりはない。俺は魔王との戦いで最強になった。国民からは勇者として崇め讃えられるだろう。それは王国を平和にする象徴なんだ」


 そう話すレギルを、シュヴァールは唖然と横目で見つめながら聞き耳を立てていた。


「確かに、レギル様は最強です。しかし、一人です。それでは、貴方が平和の犠牲になっているみたいじゃないですか」


 レギルは目線を上げ、シュヴァールを睨みつける。


「なんだと?勇者としての価値も王家としての威厳も、最強だから生まれるのだ。今の魔法権力があるから意味があるのだ。そして、最強は一人であることに意味がある。それは犠牲ではなく、崇拝だ。俺の最強としての”叡智”が国民に安らぎの平和を(もたら)すのだ」


 シュヴァールは立ち上がり、レギルを見下ろしながら睨み返す。


「少なくとも、私は魔法権力の苦しみを知っています。そして、苦しめられた人がいることも知っています。魔王討伐は私の後悔を晴らすための復讐であると同時に、魔法権力を無くすためでもありました。」


 すると、レギルも立ち上がる。


「綺麗事はやめろ。なら、どうして魔王の存在を王国に広めた?」


「そのときは…何も考えられていませんでした。しかし、今は違います。ソナと出会って変わったのです。いえ、気づかされたのです。魔法は武力だけではないと」


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