勇者決戦編 -1
宵余波 満ち月影ゆ 孤舟さよ
陽の夢浮かぶ 白百合薊
ヴァイス、レギル、シュヴァールの三人が聖壁東門に帰る頃には、黄金色の夕焼け雲が薄ら遠い空から、ひらひらと牡丹雪が降り始めていた。
目の前に広がる、英雄凱旋の影もない、いつも通りの静穏な道を三人は爽やかな表情で歩き、王都へ向かった。
そして、三人は陽翼の皇剣本庁舎で、まるで透き通る子守唄に心安らげるかのように、静かな眠りにつく夜を過ごし、朝を迎えた。
ヴァイスは、扉に挟まった洋封筒を手に取る。それを開けると、「パーティーにご招待」と見覚えのある文言が書かれていた。
徐に、再び巨大な黄金の扉の前に立つヴァイスは、そっと取手を握り、息を呑む。
扉を開けると、そこにはレギルとシュヴァールが待ち構えるように座っていた。
軽く礼をしながら、シュヴァールの隣の席にヴァイスが座ると、レギルは口を開いた。
「伍宮雲閣、今回の議題は、魔王がいない世界についてだ」
アテン王国が建国されてから今日に至るまで、魔法は魔獣や魔王を倒すための武力だった。しかし、魔王が倒された今、その役目は終わりに向かいつつある。それはつまり、王家の魔法権力としての武力支配社会が変わるかもしれないということだ。




