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エリシオン·アル·レーヴ  作者: 蜜柑 宵薫
第四章(後編)
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魔王決戦編 後編 -10

神滅魔力防御(アウフタクト·ナハト)


 バリエンテの放つ神滅魔力圧によって、結界内の自然魔力は完全浄化され、結界は崩れ去る。

 突然の状況に力が抜けたように呆気を取られ、動きが止まったアルバを見たバリエンテは、焦り惑う足で踏み出し、駆け迫る。

 そして、バリエンテはアルバの目前で踏み止まり、その顔に剣を突き立てる。


「兄上、もう決着だ。俺のことは忘れてくれ」


「まだ、何も終わってないじゃないか。今までもこれからも、俺が居る世界には、お前もいるよ。お前の世界には、俺は居るか?」


 アルバの微笑む頬に熱く垂れ流れた汗が、バリエンテの背中に垂れる冷や汗を際立たせる。そして、アルバは再び結界を構築し、ありったけの自然魔力を掻き集める。


「聖光魔法、スーリア·ルチルス」


 二人に太陽が差し込むように、純白に眩く光は天から降り注ぐ。


「神滅魔法、ヘリオス·インスレクト」

──憧れていた。それを超えた先には、何があるのだろう。俺は何者かになれるのだろうか。


 身を捧げるように両腕を大きく広げ、闇の一閃を深く刻まれたアルバは、煌々(こうこう)とする空が薄れゆく中で、小さく口を動かす。


「強くなったな」

──バリエンテは、もう守られる存在じゃなかった。そんなお前が選んだ居場所を、俺は否定していた。この敗北を受け入れることに意味なんてない。ただ、俺はたった一人の兄として、バリエンテの生きる未来を信じている。


 バリエンテは、高揚感と喪失感が混沌とする中、ふと足元を見下ろす。

 見えないほど遠く前を走っていたはずの大きな背中は、バリエンテが(たたず)む爪先のすぐ傍で、寂しく地に()せていた。しかし、それを踏み越えることも背を向けることも出来ず、呆然と立ち尽くしていた。

 そのとき、忙しない足音を立てながら、シュヴァールが二人のところへ近づいて来る。

 そして、アルバの遺体を見て泣き叫ぶシュヴァールを、バリエンテは無気力に見つめていた。


「バリエンテ、一つだけ聞かせろ。どうしてアルバ様を殺した?」


 恨みの視線を向けるシュヴァールに、バリエンテは不敵な笑みを浮かべる。


「俺が魔王だからさ」

──俺の居場所は俺が決める。俺は消えることのない罪を背負ったとしても、生きることを選んだ。それに意味がないとしても、生きる意味は変わらない。だから、俺は自分自身に罪を(あがな)う。それが俺の答え…。



これで後編は終わりです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


咲き誇れ 白彼岸花 君を見ゆ

影もろともに 秋霖に散る


この意味は以下の通りです。

白い彼岸花よ、美しく存分に咲きなさい。それを見る月の光も、しとしとと降る秋の長雨の中で、ともに散りゆく運命にあるのだから。


そして、私の解釈は以下の通りです。

純白に輝く信じる心は、純黒に染まった絶望には届かない。


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