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エリシオン·アル·レーヴ  作者: 蜜柑 宵薫
第四章(後編)
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魔王決戦編 後編 -7

 人間…お前の言う通り、我は悪魔になりたかった。

”信念”は揺るがないことに尊ぶ価値がある。この世界に来て、我はそれを忘れていた。いや、自ら捨てたのだ。


──悪魔の名はアザゼル。天界という世界で七大悪魔の称号「邪心」の一つ、”傲慢”を与えられた悪魔。


 その脳裏の奥底で眠っていた記憶が蘇るように呼び起こされ、走馬灯が流れる。



「どうして私を殺さない?」

──天使は我にそう言った。

 天使とは、いつか分かり合える。悪魔アザゼルは、そう信じていた。だから、憎しみの連鎖を断ち切り、この世界を変えるために、勝敗が着くだけの戦いを続けてきた。


「悪魔らしくない悪魔だな」

──天使は、そう言って笑っていた。

 しかし、その天使は別の悪魔に殺された。すると、悪魔アザゼルは仲間殺しの大罪を(かえり)みず、その悪魔を殺した。そして、逆上して我を忘れた末に変革を焦り、悪魔王に戦いを挑んだ。


「神の降臨だ…。私たちの祈りに意味はあったのだ。我らが(あるじ)よ、どうかセレネ王国を滅ぼし、我が国に勝利を。どうか私たちをお救い下さい」

──天界を追放され、無界を彷徨っていた我は、人間界に降臨した。そして、人々は我の目の前に生贄(いけにえ)を差し出した。それは手足を縛られた奴隷だった。その体は怯えているのに、表情は冷たく、平然を装っていた。


「なぜ弱者を犠牲にする?弱いことは、強者の身勝手な悪意を正す理由にはならない。強者ならば、自らが弱者を照らす光で在ってみせよ。しかし、それは”傲慢”だ」

──我が邪心の前で、それは許されない。その邪悪に従い、等しく無力な人間に罰と救済を。精々、足掻いてみせろ。

「人間共よ、願いを叶えてやろう。戦争は我が終わらせる」

──暗黒魔術、黒之世界。全ての人間が滅べば、戦争は終わる。


 その邪悪な魔力は人々の魂を蝕みながら世界を渡り、まるで日が落ちていき、夜が訪れるように黒く染めていく。


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