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エリシオン·アル·レーヴ  作者: 蜜柑 宵薫
第四章(後編)
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魔王決戦編 後編 -4

「我は悪魔…。闇を宿す人間よ、我が倦厭を潤す糧となって死ぬがいい」


 バリエンテの視界が黒い霧に包まれると、浅い呼吸が荒くなり、だんだんと息が詰まっていく。


 そして、意識が遠く朧気になり、体の力が抜けていく。それは、まるで冷たい水槽に顔を押さえつけられるように、心が殺されていく。


 嫌だ…苦しい…怖い。俺の体が乗っ取られていく。悪魔に食われる…。いや、これが俺の生まれてきた意味かもしれない。


 そう思ったバリエンテは、水槽の硝子(ガラス)を拳で強く叩き割り、崩れ流れる水が落ちる先、目の前に広がる湖へ自ら身を(ゆだ)ねる。


「この人間の体、飢えていた愉悦を身に()みて感じる。さぁ、愚かな人間の望むままに…」


 バリエンテの体に乗り移った悪魔は、王国へ歩き始める。

 その道中、置き去りにした仲間と遭遇した。彼らは当然、バリエンテの中身が悪魔だと気づかず、近寄った。


 逃げろ。──そんな心の叫びは届くはずもなく、悪魔は拳に影を纏う。


「闇魔法、ダーク·ブロウ」


 その拳は、仲間の一人の心臓を真っ直ぐに貫く。その血飛沫(ちしぶき)愕然(がくぜん)とした他の仲間二人は、青ざめた顔で呆然と立ち尽くす。


 仲間の魔力が消えていく。俺が殺したのか?


「闇魔法、ダーク·バインド」


 バリエンテの影が広範囲に広がり、仲間二人の影を捕らえるように飲み込む。そして一人ずつ、ゆっくりと近づき、闇を纏った拳で心臓を勢いよく貫いた。


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