表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エリシオン·アル·レーヴ  作者: 蜜柑 宵薫
第四章(前編)
45/82

魔王決戦編 前編 -7

 シュヴァールは、息を忘れたように呆然と立ち尽くし、震える腕を強く握る。


「分かっていた。アルバ様が勝てない相手に、俺が勝てないことくらい…。どれだけ貴方を思っていても、復讐に変わりはないことも…。それでも、戦わずにはいられないんだ。」


 そのとき、梅雨晴れに咲く純白の紫陽花(あじさい)は、着飾る”無慈悲な敗北”の隙間(すきま)から(のぞ)真花(しんか)に、(かす)かな天日(てんぴ)を浴びせる。

 天使の誓約(プレミオ・レガロ)、”別天結(エデン)”。──天使の加護、"慈悲"に宿る真の力。別次元の「聖なる力に満ちた異空間」を顕現(けんげん)し、あらゆるものを閉じ込める。

 それは、天使が耳打ち(ささや)くように、シュヴァールの空っぽな脳裏に(よぎ)り、魔法を浮かび上がらせる。


「真聖時間魔法、クロノス·エデン」


 シュヴァールは(うつ)ろに瞬くと、目に映る風景から一切の光を奪い、無感に歪んだ世界の真ん中に立ち尽くすバリエンテを飲み込む。そして、包み隠すように、完全に時間が停止した世界に閉じ込める。

 ”魔王”バリエンテの封印を見届けたシュヴァールは、アルバの遺体を抱きかかえると、ゲリラ豪雨に打たれるように、()る瀬無い気持ちが内から込み上がり、冷たく乾いた瞳でアルバの遺体を見つめる。


「さぁ、帰りましょう。僕らだけの居場所に…」


 その日、シュヴァールは王国へ帰ると、初代国王に二人の王子の死亡と魔王の存在を伝え、姿を消したのだった。



 それから千年以上の時が流れ、現在へ…。


「私は永い空白の時の中で考え続けました。あの日、もし私が隣にいたら…。その答えを今、知りたいのです」


 唖然としていたレギルは、微笑みながら軽くため息を吐き、肩を落とす。


「出会った時から相変わらず、お前は生意気だな。これが、お前の待ち望んだ運命だったとしても、俺は俺のために、ここに立っている。魔王を倒して、魔界に閉ざされた王国を救う勇者になるために。さぁ、お前の望み通り、二人で始めようじゃないか。交錯する運命の答え合わせを」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ