魔人決戦編 -6
軽やかな羽音を立てて舞い降りる百合鴎は、”無念への決別”に鼓動する椿の蕾にフルートを奏でるような囀りを授け、純白の花びらを咲かせる。
天使の加護”希望”。──絶望を乗り越えた者に与えられる聖なる力。
その瞬間、魔人は体を震わせ、恐れ慄くように腰を抜かし、尻をつくと、ヴァイスを指差しながら見つめる。
「それは…白い魔力?あり得ない。ある筈がない。邪悪の昂りが、愉悦の残像を映しているだけだ。あぁ、そうだ。お前が邪悪に怯えていたのを俺は知っている」
ヴァイスは深呼吸をすると、ゆっくりと静かに魔人の方へ歩いていく。
炎魔力防御。
「自然環境支配。炎魔法、カエルラ·クレシエンテ」
広範囲に拡散した周囲の熱を、圧縮しながら狭めていき、赫閃の刃に絡めながら閉じ込める。そして、一息つく間に蒼く染まり変わる。
そのとき、蒼閃の揺らぎを繕うように、純白を帯びた熱線が、さらに炎の色を変えていく。
それを唖然と見るヴァイスは、背中の体温が上がり、熱が籠もる。
「白い…炎?…母さん、今度は二人で…一緒に行こう」
白閃の刃で、立ち塞がる紫炎を打ち消しながら魔人に歩き迫り、体を切り裂く。手足を切り落としても、藻掻き立ち上がろうとする魔人に、何度も切り込む。




