魔人決戦編 -5
レギルは二人の背中に腕を伸ばし、手のひらを向ける。
「光魔力纏い。一級光魔法、ラピエーヴェレ」
黄色い光に包まれた三人は、地に落ちた枯れ葉が風に吹かれてフワッと舞い上がるように、足元が少し浮遊する。そして、長く伸びる光のトンネルの中を、ほんの0.01秒の瞬間に通り抜ける。
まるでカメラフラッシュのような一瞬の眩しさに目を閉じていたヴァイスが目を開けると、そこは冷たい空気が重く漂う薄暗闇の中だった。
すると、シュヴァールがヴァイスの背中にそっと触れる。
「私はレギル様と最深層へ向かう。ヴァイス…。君に、勇気を込めた私の願いを贈ろう。今度は、私も一緒に乗り越えさせてくれ」
ヴァイスは、その手の温もりを感じながら、シュヴァールと顔を見合わせ、安心したような落ち着いた表情で頷く。
「行ってきます」
──励まし、信頼、優しさ。それは、いつも貰ってばかりの純粋に包まれた賜物。その心地良い温もりが、母さんとの思い出を心の傍に置いてくれる。
二人と別れたヴァイスは、肌をヒリヒリと摩るような空気の中を歩き、邪悪の影を探る。鼻をスンスンとさせ、炭苦い匂いが強まっていくのを感じながら、毅然と踏み進む。
そして、黒く濁った人影を見つけ、立ち止まる。
「魔人、お前は俺の目の前で母さんを殺した。でも、思い出の中にいる母さんは、お前には殺せない。憎しみは、ここに置いていく」




