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魔人決戦編 -1
凍闇夜 霜陰散るり 雪割らむ
曙映ゆる 白花水木
木枯らしを感じさせる、紅葉の面影を残した裸木の枝が、足早に歩くシュヴァールの視界を過ぎる。
ここは、陽翼の皇剣本庁舎。彼は重々しく佇む扉にノックを三回し、「どうぞ。」という声を聞くと、扉をガチャッと開く。
「レギル様。皆がお揃いです。先日、緊急招集をかけた例の少年も直に」
シュヴァールは、ゆったりと椅子に座る”総裁”レギルに敬礼する。
「そうか。では始めようか。伍宮雲閣を」
レギルは白い軍服に袖を通し、シュヴァールが扉を開けて待つ戸口を通り抜ける。
不安な面持ちで本庁舎の入口に立つヴァイスは、”緊急”と押印された赤い洋封筒と「パーティーにご招待」と書かれた手紙を摘み持っていた。
「どう考えても無断侵入の件だよな…」
ヴァイスは息を呑むと、重い一歩を踏み込み、中へと入っていく。




