陽暈の盾編 -6
ヴァイスは自分の纏った魔力に押し潰されるように腹が強く圧迫され、吹き飛ばされる。
痛む腹を押さえながら倒れ込んだヴァイスは、四つん這いになり、唾を吐き捨てると、荒く咳払いをする。そして、膝に手をつきながら立ち上がる。
「自然環境支配。炎魔法、インフェルノ·スタウロス」
ヴァイスが纏う炎魔力から溢れ出る灼熱は、空気を焦がすように澄み乾いた熱気を張り巡らせる。そして、周囲の熱を炎魔法に絡め、糸を縫い仕立てるように、赫閃の刃をさらに鋭く、熱く形成していく。その赤く燃え上がる炎は、だんだんと色を変え、やがて、珊瑚礁に彩られた群青の海のように青く煌めく。
「炎魔法、カエルラ·クレシエンテ」
──ごめんなさい、シュヴァールさん。どうか、憎しみのままに戦う僕を許して下さい。
視界を覆う魔人が放つ紫炎を、ヴァイスは一刀両断に断ち切ると、開けた視界から、夜空をヒュンと過ぎ去る蒼閃の流星のように、魔人に向かって駆け迫る。 そして、青炎に手を伸ばし、掴もうとする魔人の手を、三日月を描くように振り下ろした蒼閃の刃で断ち貫くと、腰を回す勢いで刃を横に振るい、首を討ち切る。
「俺が数多に積み重ねてきた憎しみの日々だけの、お前が地獄に失せるまで続く無窮の悪夢に、苦しみながら逝け」
そう言い放ちながら、ヴァイスは暗く沈んだ目で、首が落ちた魔人の体を睨みつける。すると急に、肺が締め付けられるように苦しくなり、荒い呼吸で額から汗を垂れ流しながら、膝から倒れ込み、手を地面につける。
体に力が入らない…。少し寒気もする。この疲労と痛みは、魔力切れ…だけじゃないな。呼吸を忘れるほどに夢中で、知らずの内に魔力出力と体の限界を超えていたんだな…。




