魔法学校編 -4
雪原の風景とは異質な一際目立つ空間がヴァイスの視界に映る。それは火が灯っているように赤く煌めく魔鉱石が円状に囲む石壇だった。虹色に煌めく魔鉱石の欠片が斑に埋め込まれ、石壇全体が星空のように輝いて見える。そして、その中心の一段高く積まれた石台には宝箱が置かれている。これは無駄に派手な装飾がされた、まさに貴族の遊戯だ。
「…見つけた。俺の…希望への鍵…」
オリフィスを水簾のように流れ落ちる時命の砂が玻璃を伝い、賢者の足音のような木肌を堕とす音と共に、古を辿り始めたのを感じていた。しかし、周囲には人の気配が一切なく、不気味なほどあっさりしている。
違和感…。
ヴァイスはそれを感じながらも、石壇を刻々と登り、宝箱に手を触れた。
「盲目の鼠がまた一匹、罠にかかったか」
遠くから宝箱を細めた目で見ていた男は、雪景色に溶け込むように白い衣で身を包み、雪を被って地に伏せていた。その男は降雪を揺らす微かな息吹に紛れるような静かな息を吐きながら立ち上がる。そして、雷で形成された弓の弦に指をかけ、稲妻の矢を放つ。
「二級雷魔法、サンダーアロー」
鋭い光を纏う隼が稲妻の糸を伝うように、その矢はビリビリと鳴り響く轟音を置き去りに、一直線にヴァイスという標的を狙い撃つ。