魔法学校編 -2
硬い氷の大地をぐるぐると転がり、倒れ込んだヴァイスは水底から這い出るように、荒く息を吸い込む。 咄嗟に立てた腕を揺れ動く瞳で見つめる。まるで牙で噛みちぎられたように、痺れと痛みが交互に押し寄せていた。
うずくまり、唇を噛み締めたとき、暗闇と痛みが双葉の亡霊を呼び覚ます。すると、不思議と白い群鳥が羽ばたくような高揚感が脳を刺激し、頬が緩む。
「俺の恩人曰く、絶望ってのは、希望を探すための地図らしい。迷って、立ち止まって、道を探す。でも、迷わず進んだ先に希望があると、俺も信じている。だから、もう迷わない」
心臓に灯っていた炎は、鼓動の波紋と共に大きく燃え上がり、全身を包み込む。そして、丸く膨らむ海月の布帆が空舟をふわりと宙に浮かすように、ヴァイスは立ち上がる。
グラートは、瞳という水面が朝日を浴びて反射しているかのように、目をキラキラと輝かせ、笑みがこぼれる。
「ヴァイス、お前…面白いな」
そう言いながら、空に向かって手のひらを勢いよく振り上げると、淡碧の氷鳥が翼を羽ばたかせ、空へ飛び立つように、空気を凍りつかせながら、冷気が立ち昇る。
「嘘…だろ?」
冷気の流れを追うように、ヴァイスは上を見上げた。その瞳に映るのは、視界を覆い尽くすほどの巨大な氷塊だった。
「一級氷魔法、アイスメテオ」
ヴァイスは両足を地面に踏みつけるように身を低く沈め、身に纏う炎が両足を渦巻く。
「炎魔法、フレイム·デバンド」
炎を足から地面に向かって噴射し、その爆発の勢いで、迫り落ちてくる氷塊に向かって飛んでいく。