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第5話 聖女の力を見てもわからんとは。バカばっかりか!(国王視点)

これは魔物じゃ……。


学院生たちの悪だくみが淀みにつながったのか?

もともとあったのか?ここに入った時から淀んでおったが……。

 

「まっ、魔物だ!」

「逃げろ!」

「きゃ~~~」

一気に混乱する。

まったく国の将来を担う者たちが揃って情けない。

出てきたのはただのエビルイーター。たいして強い魔物ではない。


「シャイニングストライク!」

あっさりと魔導師団長が倒した。

聖属性魔法などを使わなかったのは……ふむ、そういうことじゃろう。

さきほどで聖属性と水属性を組み合わせればとかバカが言っておったが、そもそもこの程度なら聖属性だけでも消える場合がある。

しかし、せっかくの状況なので使わせてもらうぞ。

 

「ふむ、ミラベルと言ったのう」

「はっ、はい」

「父上!魔物が出たのです!一匹退治したからと言ってこの場は危険です!逃げましょう!ミラベルも、さぁ!」

「バカ者!」

このバカは本当になにもわかっとらん。

教育係を挿げ替える必要があるか。

いや、もう1人の息子は優秀じゃ。それでも、こいつもそこそこ優秀という報告じゃった……。


「父上!ミラベルは貴族の淑女なのですよ!?なぜこの場に留めるのですか!!?」

「淀みが残っておるからじゃ。先ほどこの小娘が淀みを消せると言ったのは嘘じゃったのか?」

「なっ、父上!?まさかこの場で実行しろというのですか?何の準備もできていないのに?でも、できればミラベルの力の証明にはなるのか。ミラベル、できるかい?」

「エッ、エリオット王子?私……そんな。無理です。あの淀みは動いています」

「何をバカなことを。止まっている淀みなどほぼ存在しない。それしか消せないのであれば役立たずもいいところだ」

ついにラグルですら怒って口調が乱暴になっている。


それもそうじゃのう。実行してみて力が足りないならまだしも、なにもせぬとは……。

これで自信満々にアリア殿を追い出したのか。

どいつもこいつも節穴ばっかりじゃの。


「アリア殿なら一瞬じゃろう。それができぬのなら聖女のかわりになどならぬ」

「くっ、父上!ミラベルには経験が足りないのです。そうだ、アリアを呼んで来い。あいつに消させればいい」

「はぁ?」

あまりのバカな発言に気が遠くなる。

こいつはどこまでバカなのじゃ?


「私が呼んでまいります!」

そう言って走り出したのは侯爵。それに続いてその息子も行こうとするが……。



当然ながら彼らはアリア殿を連れて来れなかった。

当たり前じゃボケェ!


この場には神殿関係者もあまりいないようだ。というかいない。

余の最悪の想定が現実のものになりそうじゃ。

余でも名前を知っているルーネ嬢。彼女は神殿長のジクスの婚約者だ。

しかしいない。


「どうするのじゃ?やるのか?やらぬのか?」

「父上!責めるべきはミラベルではなく、学院の行事を無視しているアリアです!どうなっているんだ、レオン!?」

「すみません、婚約破棄された後、戻っておりません」

「貴様、妹の管理くらいしておけ!」

「しかし王子!妹に二度と実家の敷居をまたぐなと言った私によく言ったとお褒め下さったではありませんか」

「それでも君のミスだな。アリア殿が聖女のうちは管理しておくべきだった」


黙れバカどもが。

よってたかって使えぬばかりか、つまらぬ内輪もめなど見せて何がしたいのじゃ。


余は疲れ果ててこの場を後にすることにした。

幸い淀みは大きくないし、魔物を1匹出したことで薄らいでいる。


後で神官に来てもらえば問題はないじゃろう。


それにしてもこの程度のものが消せぬとは……。



「お待ちください、父上」

「ん?」

そんな余を呼び止めたのはエリオットとは別のもの……。


「どうしたのじゃ?アーサー」

「なっ、アーサー!お前はまだ卒業年ではないだろう。この場に来るべきものではない。去れ!」

「さすがに小さいとは言え淀みを放置するのは外聞が悪いので対処したいのです。よろしいですか?」

ふむ……ここで出てくると言うことはわかっておるのかのぅ。

後ろに連れているローブのもの……。


 

やらせても問題はないと判断した余は許可を出す。

「かまわん。やってみよ」

「ありがとうございます」

「なっ、父上?あの淀みはあとでミラベルが払っておきますゆえ!」

往生際が悪い。あとで、などないのじゃ!今やれるかやれないかなのじゃ!


「お願い、頼むよ」

一方、アーサーはアリア殿に優しくお願いしている。


「わかりました。"聖なる浄化(ピューリファイ)"」

「なっ!?」

 

あっさりと消えていく淀み。

当然じゃの。

アーサーとのやり取りを聞いただけでアリア殿と良い関係を持っていることがわかる。なんと良い息子なのじゃ。親思いの良い息子じゃ!


「さすがはアリア殿じゃ」

「バレていましたか」

「当たり前じゃ」

「なんだと!?アリア!お前、侯爵やレオンの呼びかけには答えず、アーサーの言うことなどを聞くのか!?」

「後継たる兄から断絶を言い渡されておりますし、そもそも声などかけられておりませんが?」

「何を言うんだアリア!こっちへ来い!」

「黙れ!黙るのじゃ!これ以上アリア殿への無礼は許さん!」

「なっ、父上……!?」

「陛下……?」


当たり前だと思わんか?

なぜこんな『なにを仰るのですか?』みたいな目に囲まれないといけないのじゃ?

貴様らに価値などないのじゃ。

あるのはアリア殿、そしてせいぜいアーサーだけじゃ!



もうアリア殿とアーサー以外、全員処刑したい……。

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― 新着の感想 ―
[一言] >なぜこんな『なにを仰るのですか?』みたいな目に囲まれないといけないのじゃ? 何故って、そりゃ会話始まってからずっと肝心なことは全部内心でボヤいてるだけで、聖女と比べたら >貴様らに価値…
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