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異能世界で最強の半グレになる男の話-なお、男女比率は1:10で痴女だらけとする-  作者: 東山ルイ
第三章 どこまでも続くようだ

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047 ポンやヘロインよりヤベェようだ

 ヤクザも半グレも、本質は少数派の無法者。神谷海凪も、佐田希依も、サラ・ルビンシュタインも、山手夕実も、そして、鈴木氷狩も。

 その本質から逃れられない氷狩は、舌打ちするしかない。


 *


 この世界における日本の人口は、氷狩の知る世界の半分ほど。男女比率も1:10と崩れている。となれば、警察機関の動きが鈍くなるのも致し方ない。


(歩けば〝飴〟引いた馬鹿がゲロ吐いてるな。覚醒剤(ポン)やヘロインよりヤベェんじゃねェの?)


 ましてや、夜の歓楽街ともなれば、違法薬物の常習者が溢れかえっている。氷狩は溜め息をつき、寝そべって失禁している適当な女の頬を叩く。


「おい、それどこで引いた?」

「氷狩くん!! なんでホテルからいなくなっちゃうのさ!?」


 電灯が消えたり点いたりしているので、顔は良く見えていなかった。佐田希依だ。


「ああ、オマエか。まあオマエでも良いや。それ、どこで引いた?」

「忘れた!!」変顔のごとく笑う。

「昔の家電みたく、殴ったら動くか?」


 本気で顔を殴りたくなるが、ここはシックス・センスでも使って彼女の脳内から情報を探ろう。


「数キロ先だな。つか、オマエ海藤組の残党からカネ借りてるんだろ? 山手が言ってたぞ」

「借りちゃいけないの!?」

「声潜めろ。馬鹿なのは知ってるが、それでもムカつく」

「借りてるよ!! だって、〝飴〟の値段がどんどん上がっていくんだもん!! 最初2000円だったんだよ!?」

「典型的な手口じゃねェか。この白痴が」

「言葉責めってエロイよねぇ……」


 もう相手にしたくないので、氷狩はまるで動けそうにもない佐田を放置し売人の元へ向かう。


「どうせ三下だろうけど、芋づる式に上層部の隠れ家まで割れるかもしれねェ」


 シックス・センスはこういう場面だと強力だ。相手の意思を覗き込めるからには、トントン拍子で残党どもを見つけられてもおかしくない。


(ここかね。面倒臭せェ。襲っちまうか)


 タクティカルペンを取り出し、氷狩は背後から売人の女へ近づいていく。

 そして、

 グサッ!! と耳にペンを突き刺した。


「きゃあ!?」

「騒ぐな。近所迷惑だ」氷狩は耳穴に刺したペンを動かしつつ、「スマホを出せ。聴力、失いたくないだろ?」


 わなわな、と震える手でパーカーのポケットからなにかを取り出そうとする。

 が、なにをするのか氷狩にはお見通しだった。


(スタンガン、ねェ……)


 この距離なら通じると思ったのだろう。それなりの手慣れのようだ。

 しかし、意思を見透かしてしまえばなんてことない。氷狩はペンから手を離して、彼女の右手を掴んだ。


「……ッ!」

「無駄な抵抗するなよ。時間は貴重なんだぞ?」


 へし曲げる勢いで掴んだ腕に力を入れ、氷狩は囁いた。


「アンタ、一体何者……?」

「何者でも良いだろ。大事なのは、オマエの寿命だ」


 まあ、どのみち海藤組の残党に消されるだろうが、少なくともここで氷狩の指示に従えば逃亡する猶予が与えられる。わずかでも生き残れる可能性に懸けるのであれば、氷狩に携帯電話を渡したほうが良い。


「まいど」


 携帯電話を受け取り、氷狩は早速サラへ電話をかける。


「よう、解析して欲しいスマホがある」

『例の件ですね。山手さんから情報は拾っています』

「そっちへ出向くよ。盗聴されてる可能性も否めん」

『ええ』


 氷狩は立ち去った。

 彼からスマホを強奪された女は、ボソリと呟く。


「男子なのに、あれくらいの歳で能力者……? いや、そんなことどうでも良い。逃げなきゃ」


 忠誠心など端からないのであろう。所詮、表に出てくるヤクザなんてそんなものだ。


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