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異能世界で最強の半グレになる男の話-なお、男女比率は1:10で痴女だらけとする-  作者: 東山ルイ
第三章 どこまでも続くようだ

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041 クソ女がクソまみれのようだ

 どうにも、グレーゾーンに生きる者はほとんど皆、〝キ印〟だ。ごく一部、頭がキレる者もいるが、ソイツらは多分、一般社会でも成功者になれるだろう。

 と、自分の置かれた位置を分析できる鈴木(すずき)氷狩(ひかる)って、結構頭が良いのかもしれない。

 日本で一番多い名字と、捕まれば一瞬で周りに避けられる、滅多に聞かない名前。

 そんな21歳の青年は、不思議な〝クスリ〟の所為かなにかで、目を真っ赤にする佐田希依(さだきい)の突撃に遭っていた。


「キメセクしないの!?」


 佐田はなぜか鬼の形相で金粉の塗られた身体を露わにし、氷狩の上にまたがっていた。しかも声が大きい。ご近所迷惑も良いところだ。


「やらねェよ。つか、オマエ〝草〟以外になにかやっただろ? どこで引いたんだよ?」

「近くの公園で〝飴〟引いた!」

「声でけェよ。というか、飴?」

「うん! 氷狩くんも舐める?」

「どういうクスリだよ」

「こういうヤツ!!」


 いちいち声のでかい女は、典型的なキャンディーをパンツから取り出した。


「汚ねェなぁ」

「なに言ってるのさ! 3日前、シャワー浴びたよ!」

「3日間もラリってたのか? これ、草どころの騒ぎじゃねェな」

「そんなんどうでも良いじゃん! 私は悲しいんだよ!? 海凪(かいな)ちゃんとイチャイチャして──」

「イチャイチャしてねェよ、って、うわッ!!」


 氷狩は主義として〝草〟や〝紙〟といった違法なクスリ全般をやらないが、周りがしばしば溺れているので、それらの副作用はある程度理解している。

 しかし、理解はあっても、またがれたまま嘔吐されることはなかった。おかげで5万円ほどした黒いパーカーが台無しである。


「てめェ!!」

「なーに?」

「なーに、じゃねェよ!! ヒトの服にゲロ吐くんじゃねェ!!」

「え、私そんなことした覚えがないよ? げふ、おぶ、ろろろろろ……」


 氷狩は佐田を無理やり引き離し、パーカーを彼女の口にぶち込む。そしてタンクトップだけになり、これほどの騒ぎでも起きない金髪碧眼の少女イリーナに呆れつつ、


「クソみてェなクスリ売りやがって……そんでもって、糞まで漏らすと?」


 理性を失った猿のごとく、文字通り糞を漏らす佐田。コイツ、女を捨てているとか、男女比率が1:10だから女が男の代用しているとかではない。人間としてどうかしているのだ。


「ああ、チキショウ。イリーナ、いい加減起きろ」


 これだけの騒ぎでも起きない、居場所がないがゆえ氷狩と同居している訳あり品の金髪碧眼少女イリーナは、その一声で目を覚ました。ある意味器用なヤツである。


「ん、なに?」

「クソ女が糞漏らしてゲロ吐きやがった」

「通りで臭いわけだね」

「オマエ、大物すぎるだろうよ……。まあ良いや。一応、カエシに備えてホテルに身隠してたけど、こんなところにいたら身体が腐食しそうだ。別のホテル行くべ」


 ホテルマンがなんとかしてくれるだろう。通報とか、清掃とか。

 そういう末節を氷狩がする必要はない。どうせ、鈴木氷狩は裏社会の人間なのだから。


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