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異能世界で最強の半グレになる男の話-なお、男女比率は1:10で痴女だらけとする-  作者: 東山ルイ
第二章 天才ゆえ大変っぽいな

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034 一人ぼっちは寂しいっぽいな

 暴力団は数こそ多けれど、抗争なんてしようものなら、共同謀議で組長までも捕まる。

 だが、海藤組の連中はそれを恐れていない。氷狩も前の世界にいたときから小耳に挟んでいた。懲役へ行くのを上等で、抗争し続ける暴力団のことを。


「なるほど」氷狩は頷き、「海藤美菜のワンマンだっていうなら、ソイツを消せば良いわけだ。そうすりゃ七王会も、ワンチャン厭戦になってくれるかもしれねェ」

「そういうこと」神谷は自信ありげに、「どう? 私のこと、見直した? 私だってやればできるんだから」

 氷狩は適当な態度で、「ああ、そうかもな。でも、相手は一筋縄じゃいかないだろうよ」

「そこでサラエもんの出番ってわけじゃん?」


 佐田希依がサラ・ルビンシュタインに電話をかけ始めた。


「サラエもん~。海藤組の組長をぶっ殺すことにしたけど、なんか良い案ない?」

『はあ』

「溜め息ついてると老けるぞ☆」

『突発的に七王会の最武闘派のトップを殺すとか言われれば、私だって文句つけたくなりますよ』

「そこをなんとか!」電話越しなのに手をあわせ、「だいたい、私らって一蓮托生じゃん? 海凪ちゃんに夕実ちゃん、氷狩くんってさ」

 なにを言っても無駄だと悟ったのか、『……、分かりましたよ。チャンスは一度きりですからね? 海藤美菜を含む海藤組のトップ層は、港に隠してある武器を回収しに行ってます。なんでも、自分たちだけで勝負をつけるつもりだと』

 氷狩が口を挟む。「おれらを皆殺しにしたら、アイツらまとめて死刑じゃねェの? もはや共同謀議にも当たらないじゃねェか」

『それだけ、私たちは恐れられてるんですよ。若い者に行かせても返り討ちに遭うだけだって。それに、半グレを数人殺したところで警察はろくに動きませんよ』

「確かに。一般人だったら血眼になって死刑台へ送り込むだろうけど」

 今度は柴田が口を挟む。「なあ。アイツらは建前でもカタギに手ェ出せないし、出したら死刑モノだろ?」

「だろうな」

「だったらおれが行くよ。オマエらと違って、おれ半グレじゃないし」

「あ?」

「風の噂で訊いたんだ。元姉が海藤組の幹部やってるって。アイツを殺せるなら、懲役行ったって構わん」


 なお、柴田公正の元姉、柴田雫は、破門された挙げ句氷狩たちに詰められ、行方不明である。

 氷狩と神谷は目をあわせる。これほど便利な鉄砲玉はいないと。勘違いしたまま、長い〝お勤め〟に行ってくれれば良いと。

 が、


「なら、おれも行くよ。親友をひとりで懲役送りにするのは嫌だし」

「良いのか?」

「水臭せェぞ、柴田」

「なら、イリーナも行こうかな」

 氷狩は怪訝な顔になる。「あ? なんで?」

「一人ぼっちは寂しいもん。せっかく、君や公正くんと出会えたのに」


 氷狩はまたもや、神谷へ目配せする。要するに、どんな方法でも良いからふたり分のパスポートを作れという合図だ。

 そして、神谷は頷いた。


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