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異能世界で最強の半グレになる男の話-なお、男女比率は1:10で痴女だらけとする-  作者: 東山ルイ
第二章 天才ゆえ大変っぽいな

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031 日本最大の地下組織と対峙するっぽいな

 そうつぶやいた頃には、ロケット・ランチャーを担いだ佐田希依(さだきい)が現れた。


「氷狩くぅぅぅぅぅん!! 怪我してない!?」

「お陰様でな」

「良かった! さっさと逃げるよ!」

「ああ。でも、柴田もいっしょに連れて行ってくれ」

「柴田って、このヒト?」

「そうだ。おれの親友なんだよ」

「分かった! でも、対能力者用の手錠はめられてるから、このまま運ぶね!」

「ああ、ありがとう」

「氷狩くんに感謝される日が来るなんて……。ああ、生きてて良かった」

「気色悪いのは変わらんな」


 放蕩した顔つきの佐田。されども、助けに来てくれたのは変わらない。

 そんな最中、

 マンションの最上階に、もうひとりヒトが現れた。茶髪のショートヘア、美人で幼なじみの神谷海凪だ。


「よう」

「無事だったのね。良かったわ」

「果たして無事といえるのか」

「……、ええ。これで私たちは、正式にマッド・ドッグへ宣戦布告したことになるわね」神谷は一呼吸起き、「マッド・ドッグは裏社会とのつながりも深い。〝関東七王会(かんとうななおうかい)〟を知ってるかしら?」

「知ってるよ。日本最大のヤクザどもだろ」

「このまま幹部を拉致するのは簡単だけども、そうすれば私たちは10000人からなる七王会と対峙する羽目になるわ」

「そりゃあ、面倒だな」

「でも、私へも作戦がある。とりあえず、隠れ家代わりのホテルを抑えておいたから、そっちへ向かうわよ」

「ああ」


 *


 ラブホテル、だった。キングベッドにSMグッズ。大きな照明に、派手なソファー。


「さあ、氷狩くん。私といっしょにSMプレイを──」

「神谷、作戦ってなんだ?」

「え、私無視されてる?」

「ええ。相手は日本最大の地下組織。なら、こっちは海外の裏組織を使うだけよ」

「そんなコネ、あるのか?」

「今、サラが交渉してるわ」

「なにを条件に?」

「七王会が持つ権益を全部渡す代わりに、私たちへ兵器や兵隊を用意させる」

「勝算は那由多の彼方だな」

「そうね。けれど、そうでもしないと私たちはあしたにでも海の底だわ」

「言えてるな。ところで、イリーナは?」


 元をたどれば、イリーナを守るために挑んだ戦争だ。であれば、彼女の顔くらい拝みたい。

 そして、

 遅れて山手夕実(やまてゆうみ)とイリーナが現れた。


「夕実って、男なの?」

「うん。女装子だよ」

「それって意味あるの?」

「女装は男にしかできないから、もっとも男らしい趣味だよ」

「良く分かんない」


 そんな会話とともに、赤いボブヘア、身長160センチ程度の山手夕実とイリーナはソファーにもたれた。


「よう、山手」

「久しぶりだね、ひかるん」

「ああ。相変わらず、女装してるのか」

「いっしょにしてみる? ひかるん」

「しねェよ」苦笑いを浮かべる。


 なお、拉致してきた幹部の口には〝猿ぐつわ〟がされている。SMグッズではない。本物の、猿ぐつわだ。


「──!! んー!!?」

「うるせェなぁ。脚でも撃って気絶させるか?」

「そうしようかしら」


 神谷はナイフを取り出し、彼女の脚にそれを刺した。声にもならない声をあげていれば、コイツらは本当に自分を殺すかもしれない、と思わせるのが目的だ。


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