表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能世界で最強の半グレになる男の話-なお、男女比率は1:10で痴女だらけとする-  作者: 東山ルイ
第二章 天才ゆえ大変っぽいな

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/48

027 鉄で感情を覆っているっぽいな

 パシュッ! という糸がちぎれるような音がやかましく聴こえる頃、氷狩はひたすら上へ向かっていた。馬鹿と煙は高いところが大好き、という言葉どおり、その幹部とやらは最上階で暮らしているからだ。


「はあ、はあ……。タバコなんか吸うモンじゃねェな」


 先ほどのイリーナの模倣と、長年の出不精な生活。そのふたつの軸が、氷狩の頭に痛みを起こす。

 が、コンクリートづくりの階段もすでに9階。最上階が10階なので、あと少し走るだけだ。

 そのとき、

 氷狩は、なにかを察知した。


『貴方に恨みはないけど、こっちも必死なの』


 足を止め、氷狩は拳銃を取り出す。安全装置を解除し、9階の非常口から出てくる使者に備える。

 だが、氷狩は背後にヒトの気配を感じた。まさか、テレポート? この速度だと反応しきれない。照準を合わせるまで、きっと間に合わない。

 では、こうしよう。

 ピピピ……、とマッド・ドッグ製の手りゅう弾の警報らしき音が響く。すでにピンは抜いてあり、敵が誰であろうとも、この距離では回避不能。破片をくらって戦闘不能になるだけだ。


「っっっ!!」

「おっと、タイマーが鳴ったみてェだ」


 氷狩は、背後に現れた存在にスマートフォンの画面を見せつける。アラームの画面が彼女を愚弄する中、青年は、


「だけど、ホンモノも持ってるんだよ。ほら」


 平然と、破片手りゅう弾を彼女の頭めがけて投げた。

 しかし、爆発はしなかった。破片も飛ばなかった。理由は単純。ピンを抜いていないからである。

 そして、その爆弾を氷狩は悠々と拾いに行く。


「馬鹿だな。攻撃手段が乏しいのに、こんなところでこれを消化するわけねェだろう」


 氷狩は嫌味ったらしい笑みを浮かべる。


「……支配者気取りできるのも、今のうちだよ」

「ああ、そうかい。そりゃあ良いこと教えてもらったよ」

(さて、どう出る? テレポーターだったら、体内にモノ打ち込めるかもしれねェ。ただ、それやるには相応の時間が必要なはず。となれば……)


 氷狩は冷静だった。鉄の感情をまとっているかのように。

 まず、シックス・センスには現状、まともな攻撃手段がない。相手の攻撃を流すか、それともカウンターをくらわすか。それ以外にできることはない。

 対して、相手はテレポーターらしき女。銃器を取り出さないあたりにも、自信が溢れ出ている。この距離なら、拳銃でも使って撃ち抜いてしまったほうが早いはずなのに、それをしない。つまり、相当高位な能力者なのは間違いない。


「頭を蹴るわけか!!」


 氷狩はその言葉とともに、かがんだ。確かに、サッカーボールのように頭を蹴ってしまえば、ましてやテレポートで加速していけば、女性の脚力でも脳震盪くらいは起こせる。更に、加速しているということは、そう簡単に足を引っ張ってはたき落とすこともできない。だから、この場での最善手はかがむことだったのだ。


 またもや黒髪ロングヘアの女は姿を消した。シックス・センスでの意思の送受信をくらった者たちが、いつ起き上がるか分からない以上、時間は無駄にできない。なにか、即座に手立てを考えなければならない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ