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異能世界で最強の半グレになる男の話-なお、男女比率は1:10で痴女だらけとする-  作者: 東山ルイ
第二章 天才ゆえ大変っぽいな

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025 意趣返しっぽいな

 結局、アウトローという生き物は小勢(こぜい)なのだ。一般市民や警察が本気になれば、一瞬で淘汰される定めにある。それに、対立組織も星の数ほどに存在する。だからこそ、数少ない味方は大切にしなくてはならない。

 そんなこと、神谷だって嫌というほど分かっている。分かっていなければ、今まで生き残ることもできなかったのだから。


「というわけで、行ってくるぞ。後は頼んだ」


 *


 鈴木氷狩は、その高級マンションにたどり着く前に、ある男へ電話をかけようとした。

 が、道中に彼はいた。準備万端といわんばかりに、彼は手りゅう弾をチラリと見せてくる。


「イリーナのために喧嘩するんだろ?」

「良く分かったな」

「ガキの頃からの付き合いだ。その喧嘩、付き合ってやるよ」

「ああ、ありがとう」


 柴田は黒いシャツの裏から、グレネードを3つ渡してきた。


「随分小さいな」

「マッド・ドッグがつくった代物だよ。性能は並みの手りゅう弾にも負けちゃいないぞ」

「まあ良いや。喧嘩に道具はいくつあっても足りねェからな」


 パーカーのポケットにしまい、氷狩は柴田公正へ最終確認をする。


「これから、マッド・ドッグの幹部がいるマンションを襲う。寒気がするくれェ、警備が整ってる場所だ。警備員はおれだけでもなんとかできるが、問題はカメラだな」

「そこで、おれの出番ってわけだ。サイコキネシスでカメラをぶっ壊す」

「なあ、柴田」

「なんだ?」

「オマエ、マッド・ドッグに恨みでもあるのか?」

「おれの意思を読めるんだろ。それで確認してみろよ」

「ああ……」


 柴田の意思を受信してみる。

 そこは、姉への恨みとマッド・ドッグに対する殺意で満ち溢れていた。姉がヤクザになる前、柴田公正という男はマッド・ドッグに売られた。男にカネを貢ぐため、弟を非人道的な組織へ売り払ったのだ。

 マッド・ドッグに属していた柴田公正は、非凡な才能を開花させた。だが、そこには数え切れないほどの悲劇があった。

 きのうまで話していた友だちが、次の日には脳髄だけに。

 柴田よりも実力のある能力者からの暴行。性的にも、柴田は虐待され続けた。

 強制され、初恋の相手を射殺した。殺さなければ、殺される。それだけが、マッド・ドッグのルールであった。


「吐き気がするぜ」

「……、人間は自分のことが一番かわいい。だからこれは、オマエに対する協力でもあるが……おれからの意趣返しでもある」


 氷狩の隠れ家とそのマンションはさほど離れていない。ふたりはマンションの前に立つ。


「なあ、柴田。これからおれが受信してる意思を〝送受信〟に切り替える。脳内でパニック起こさないように」

「ああ。言われてなんとかなることでもねェけどな」


 数時間前、イリーナがやったことを模倣すれば良い。頭が疲れそうだし、実際疲弊するのだろうが、もう四の五の言うターンではない。


「さあ……、行くぞッ!!」


 複数の意思を捉え、それらを無差別につなげていく。ヒトの意思がインターネットのごとく、つながった。

 その頃には、マンションからヒトの意思がほとんど消えた。


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