表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異能世界で最強の半グレになる男の話-なお、男女比率は1:10で痴女だらけとする-  作者: 東山ルイ
第二章 天才ゆえ大変っぽいな

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/48

024 違げェっぽいな

 神谷が頭を抱えるあたり、よほどの大事件なのは間違いない。いくらここがあべこべ世界だからといって、神谷海凪という〝鉄の女〟がこれほど動揺するとは思えない。


「そんなに、〝マッド・ドッグ〟はヤベェのか?」

「やばいなんて次元じゃないわよ。日本の闇を凝縮させたような代物よ? すべての陰謀はあの組織に通ずる、なんて言われるくらいには」

「えげつねェなぁ」

「だから、そうね。そう、どうすれば……」


 神谷の顔から血の気が引けていく。指を口元に当て、その手は震えている。


「ひとまず、サラに連絡じゃね? アイツならワンチャンある」

「え、ええ」


 イリーナが勝手にソファーの上で寝息を立て始めた。呑気な少女だ。まあ、色々と極限状態だったのだろう。氷狩は彼女にタオルケットをかける。


「もしもし、サラ?」

『なんでしょうか?』

「マッド・ドッグから逃亡したイリーナって子、知ってるかしら?」

『ええ。知ってますよ。今しがた、大騒ぎになってる』

「その子の身柄を確保したと言ったら?」

『即刻返すべきでしょう。私たちみたいな半グレが触れて良いヤマじゃない』

「でしょうね……」


 そのとき、氷狩が口を挟む。


「なあ、サラ」

『なんでしょう?』

「後生だ、イリーナを見捨てないでくれ」

『……、貴方がそんなこと言うほどの子ですか。イリーナとは』

「ああ、そうだね。それほどの価値がある」

『分かりました……。ただし、貴方がすべての問題を背負うことになりますよ?』

「構わねェ」

『なら、まず……マッド・ドッグの幹部を拉致するところから始めなければならない』

「所在地は?」

『今から送ります。ただ、これ以上の援助はできません』

「ああ、悪いな」

『いいえ』


 電話が切られ、同時にスマートフォンへマッド・ドッグの幹部の住処が送られてきた。高級マンションの最上階に住んでおり、警備員と防犯カメラが至るところに配置されている。


「ここまで送ってくれたのか。いや、幹部をさらえば、株価にもなんらかの影響が出ると踏んだか……」


 サラは小賢しい。彼女は最小限のリスクで、最大限のリターンを得るべく行動するはずだ。となれば、今頃株価の動きを注視しているだろう。


「よし、行ってくる。早ェところ、終わらせるべきだしな」


 ハンドガンをベルトにはさみ、氷狩は指をゴキゴキ曲げる。


「え、本気で行くつもりなの?」

「当たり前だろ。すぐ戻って来るから、イリーナの面倒よろしく」

「だ、だって、監視カメラと警備員の数をしっかり見たの? まるで要塞みたいな場所に突っ込んで、勝てる見込みはあるの?」


 神谷は本気で心配しているようであった。しかし同時に、この会話に意味がないことも知っているのであろう。


「勝てる見込み? ンなモンねェよ」

「じゃ、じゃあ、こんな子見捨てて──」

「神谷、おれたちの正体はなんだと思う? 暴力と知略で物事を解決する半グレ? 時にはヤクザにも喧嘩を売る、イカレた集団? 違げェなぁ」


 氷狩は薄ら笑いを浮かべた。


「おれたちは、少数派だ。だから仲間を大切にする。そうしなければ、おれたちみてェな無用者はすぐに潰される。そうだろう?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ