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クラスメ~ト

私立ガイア学院高校では

夏休み前に

クラス対抗で

球技大会が行われる。


バスケット、サッカー

ソフトボ-ル、卓球

ドッチボ-ル


色々な球技があるが

全員1人1競技に必ず参加

チ-ム編成は

男女半々にする事。


優勝したクラスには

打ち上げ費用が出る

そんなイベントだった。


ここ2年1組でも

優勝を目指して

ホ-ムルームが熱く

開かれている。


『打ち上げ費用が

優勝商品って、どういう事?』


女子同士が話している会話が

レナと光の席にも

聞こえてきた。


『優勝したクラスが

打ち上げした時の

ファミレスとかの領収書を』

『生徒会に提出したら

4万円まで、出してくれるんだって』


その話が聞こえてきた光は

Black Expressの

仕事がある自分は


クラスが優勝したとしても

打ち上げには出れないな、


そう考えて

なるべく関わり合いに

ならないように考えていた。


だがクラスメ-トは

それを許さなかった。

『光、ソフトボ-ルを

やろうぜ?』


『光君、ドッチボ-ルに

入ってくれない?』


『早田、男なら

サッカーだろう』


中には古橋が

『男女ペアで卓球に

出よう?』と

男同士では参加出来ない

規定を無視した誘いもあったが


光の席の周りには

勧誘の人間の輪が出来ている。


男女比率が半々の

チ-ム編成なので

いかに強力な柱になる人物を

入れられるか?

それで勝敗が大きく

変わっていくからだ。


光争奪戦を隣の席に

座って見ていた氷姫は

唖然として眺めていた。


彼って、こんなに人気者なの?


自分には誰も話し掛けて

来ないが

光には色々な人が

誘っている光景


少し羨ましく思っていた。


『俺は、チ-ム競技とか

苦手なんだよ』

多くの勧誘を、そう言って

辞退しようとしている光


その会話が聞こえた

レナは意外だった。


私意外にも団体行動が

苦手な人がいるんだ。


だがクラスメ-トの光への

勧誘の手は緩まなかった。


毎年、春先に実施している

体力測定で光は

全種目でスポーツ推薦で

入学した生徒より

良い成績を出していたからだ。


私立ガイア学院の

陸上部には

去年のインターハイに

出場した選手もいたが

光は、その選手より

10秒も早いタイムで

長距離走をゴ-ルしていた。


更に短距離でも100m走を

10秒台で走り

陸上部の顧問が

毎日土下座して勧誘を

続けていたが

彼は拒否し続けている。


体育の時間で一緒に

着替えた男子は

光の運動神経が抜群な

理由を垣間見ていた。


ギリシャ彫刻のような

彼の筋肉は

筋骨隆々であり

芸術品のような

美しさであったのである。


あの筋肉で帰宅部は

反則だろう


体育で一緒に着替えている男子は

全員そう思っていた。


だが光の筋肉は

毎日のトレ-ニングの

成果である。


朝と夜に15kmを毎日

ランニングしており

腕立てと腹筋、

懸垂とベンチプレスも

日課としていた。


それに加えて

みんなにバレないように

両手、両足に重りを

付けて学校生活を送っている。


全ては夢の為


そう信じて自分を

普段から鍛えていたのであった。


勧誘になかなか

クビを縦に振らず

みんなが諦めて

光の席に静けさが戻ってきた。


一部始終を見ていたレナが

『ずいぶん、モテるのね?』と

少しバカにした感じで

光に話し掛けてきた。


その言葉にカチンときた光が

『ソッチは、何に

参加するんだよ?』と

レナに聞くと


『私は出ないわよ』と

ドヤ顔で光に答える。


それを聞いた光が

レナを見て笑いだす。


『何よ?』

『何、笑っているの?』


光が自分を見て

笑い出した事に

憤慨してレナが光に近づくと


『お前、先生の説明を

聞いていたのか?』


『全員、1競技には必ず

強制参加なんだよ』

『正当な理由なく

参加しなかった奴は

3教科が赤点になるんだぜ』


そう説明を聞いたレナは

恥ずかしくなり

顔を真っ赤にして


『最後に残ったのに

出れば良いんでしょ?』と

負け惜しみとも取れる

言葉を光に投げ掛けるが


『本気で、そう言っているのか?』と

逆に光に

聞き返されてしまった。


それを聞いたレナは

真顔になり

『何か、問題あるの?』と

問いかけると


『最後に残るのは

何の競技だと思う?』と

光がレナに聞くが、

彼女は全く検討も

ついていない。


そこで光が

『男女混合の

卓球のダブルスだよ』と

答えを言うと

レナにも想像が出来た。


要は男子でも女子でも

クラスの輪から

ハブれたカップルが組む事に

なるのだ。


輝いている17才の女子には

残りモノ同士の即席カップルは

耐えられない仕打ちである。


事態を理解したレナは

困った顔で光に

『どうしよう?』と

聞いている。


いつも、ツンケンしている

氷姫


たまには、痛い目に合うのも

クスリになって良いだろう。


一瞬そう考えたが

昨日の素直だった彼女を

思い出して


『何の競技なら

出れそうなんだ?』と

レナに聞くと


『昔、小学校で

ドッチボ-ルなら

やった事があるから』

『みんなに迷惑をかけない程度に

出来ると思うけど』と

自信なさげに言ってきた。


『了解』


光はレナに

そう言った後に

『お〜い、霧山』

『俺と大悟は

ドッチボ-ルに出るよ』と

大きな声で参加表面をした。


『ちょっと待ってよ』

『私、出るなんて

言ってないわよ』と

光を制止するようにするが


『じゃあ卓球にするか?』と

光に聞かれて


赤点もイヤだし

残りモノ扱いもイヤ


そう考えて残った選択肢で

やはりドッチボ-ルが

1番良いと思えてきて


光を制止していた

チカラが弱くなる。


『自分じゃ立候補は

出来ないだろ?』と

痛いところを光につかれて

彼女は黙ってしまう。


運動神経バツグンの

光が出る種目が優先されて

やがてクラスの出る種目が

全て決まっていった。


卓球の男女ペアの男子が

レナにしつこく絡んでくる

古橋に決まったのを見て


クチには出さないが

心の中で光に感謝する

レナであった。
















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